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結婚できない男 第6話

塚本高史 2007. 11. 21. 00:29

結婚できない男 第6話

『融通きかなくて悪いか!!』

いつものビデオショップ。
目当てのDVD・『ROCKETMAN BLUES』は貸し出し中。
「この映画、ずっと貸し出し中で。
 誰か返すの忘れてるんじゃないんですか?」
店員に尋ねる信介(阿部寛)。
「今日、また別の人が借りたみたいですね。」
「・・いつ戻ります?」
「さあ。」
店を出ようとした信介は、DVDの返却に来た女性客をじっと見つめる。
その女性に不審そうに見られ、仕方なく店を出ていく。

その頃夏美(夏川結衣)は、まんが喫茶で『2001夜物語』を読書中。
その隣ではみちる(国仲涼子)が『王家の花嫁』を読書中。
「それどういう話?」
「すごいですよ!古代バビロニアにタイムスリップした女の子が、
 王様に見初められて結婚するんです!」
「王様と結婚か。女の子の夢ね。」

お金と地位とルックスの3拍子揃った男の人って、
 やっぱり理想ですよね
、何だかんだ言っても。」
「そうでしょうね~。」
「夏美さんは、結婚相手の理想像とかあるんですか?今でも。」
「・・・今でもって。
 あるわよ、ちゃんと。
 私の理想はね、常識があって、人の輪を大切にして、
 それで、私と生活スタイルが合う人
かな~。」
「控えめですね。」
「そう言われると控えめね。
 でもいないのよ、何で!?」
「さぁ・・。
 じゃあ、お金と地位とルックスの全部揃った人って、
 ますますいないのかな。」
「桑野さんってさ、お金と地位とルックス、一応全部揃ってるじゃない!」
「だから何ですか!?」
「・・・言ってみただけ。」
2人はまた読書に集中。

家に戻ったみちるはベランダで友達の千鶴(SHEILA)と電話中。
「私たちさー、ちょっと男の人に求める条件
 下げた方がいいのかな。
 はっきり言って妥協っていうかさ。」
ジムで汗を流しながら友達が答える。
「確かにねー。時々思うんだよね。
 日本に、私の理想の男性はいないかもって。」
「そのうち地球にはいないとか言い出すとヤバイよね。」
「かなりヤバイー。」
「でも年収1千万ぐらいは欲しいなーとか思うじゃない?」
「1千万って相当じゃない?普通どれくらいよ。」
「さあ・・会社によって違うとは思うけど、
 平均年収ってどれ位なんだろ。」

「440万だ。」
ベランダで洗った靴を干そうとしていた信介が話に割り込む。
突然隣のベランダから声をかけられ驚くみちる。

「平均440万だって!」
「そんなもん!」
「現実は厳しいねー。
 うん。じゃあまた明日。」

みちるが電話を切ると、信介が言う。
「平均年収600万過ぎるのは40過ぎてからだ。
 1千万の男と結婚したいなら、
 奥さんに先立たれた、50男でも探すんだな。」
「そうやって人の夢を壊して楽しいですか!?」
「僕はただ、データを提供しただけだよ。」
「夏美さんみたいに、控えめな条件にした方がいいのかな。」
「条件があるのか、あの年で。」
「桑野さんは、結婚相手に求める条件とかあるんですか?」
ない。結婚を求めてない。
壁の隙間から覗き込むKENと目が合う信介。
「聞いた私がバカでした。おやすみなさい!」
みちるとKENが部屋に戻っていった。

病院。
看護師たちは、夏美が患者に押し付けられたお見合い写真に興味津々。
なかなかのハンサムだが夏美は
「30過ぎて、何回も転職しているっていうのがねー。
 地に足が着いていないような気がして、
 私とは人生観合わないような気がする。」と乗り気でない。
「先生はどういう人がいいんですか?」
「昨日もそれ聞かれたんだけどね、
 私が答えたのは、
 常識があって、人の和を大切にする人。
 例えばこう、人がケンカをしている時にさーっと間に入って、
 上手く解決してくれる人
とかさぁ。」
「カッコいいそういう人!」「でも意外といないんですよね。」
「でしょう!?
 和を乱す人ならいそうだけど・・・。」

ある日、信介たちが新築現場で打ち合わせをしていると、
隣のマンションに住んでいる八木(乃木涼介)という男性が声をかける。
「失礼します。 
 そこのマンションに住んでいるんですが、
 ベランダにこれが飛んで来まして・・・。」
そう言い、おが屑を見せる。
「おが屑!どうもすみません。これから気をつけます。」
棟梁(不破万作)が謝ると、
「そうですか。じゃあ、よろしくお願いします。」
八木はそう言い帰っていった。

八木がおが屑を握り締めたままだったことに気づき、戻ってきた。
すると信介が英治(塚本高史)に
「おが屑ぐらいで。ああいうのをクレーマーって言うのか。」
と言っているのを聞いてしまう。

「私はクレーマーですか?」と八木。
「いやあの・・・」
「謝れ。」棟梁が言う。
「すいませんでした。聞こえると思わなかったもんですから。」と信介。
「聞こえなければそれでいいんですか?」
「そういう意味じゃなくて。」

「どうもすみません。こいつ、ちょっと変なもんで。」棟梁が謝る。
「変って何だよ、どさくさに紛れて!」
言い合いになる棟梁と信介。
そのうち、2人は掴み合いになってしまう。
慌てて止めに入る英治と八木。
その時!
信介の手が八木に当たってしまい、八木はその場に転んでしまう。
凍りつく三人。
「あ、大丈夫です。血は出ていないみたいだから。」
八木がゆっくりと顔を上げ、信介を見上げる。

ケンカを仲裁に入る八木さん!
彼は夏美が言っていた理想のタイプ!?


幸い、怪我はしておらず、大事にはならずにすんだ。
「改めてお詫びに言ってね。
 私たちのお客様はこれからずっとあの家に住むのよ。
 ご近所でずっと気まずい状態じゃ困るでしょう。」
摩耶(高島礼子)は、八木がオーナーを務めるお好み焼き屋まで、
お詫びに行くようにと念を押す。
渋々、アポを取ろうと電話を取るが、話中だった。
そのことにほっとする信介。

みちるの友達は、金田のHPを検索で見つけたとみちるに見せる。
「どうかな、この人。」
「うーーん、ビミョ~・・・。」

みちるは英治に電話をかけ、金田のことを聞いてみる。
「金田!?やめた方がいいって。
 "WORKS"ってとこ見てみな。工事中ばっかりだろ。
 ほんとは何もやってないと思うよ。」
「工事が長引いているのかもしれないじゃない。」
「あと女ったらしだよ。
 見るたびに違う女連れてるし。」
「ふーん。」

「金田が何だ?」信介が英治に聞く。
「みちるさんですよ!
 金田のこと聞くからやめとけって言ってるんですよ。」
英治の携帯を奪う信介。
「もしもし。金田君はなかなかいい男だぞ。
 金はあるし、ルックスもいい。
 しかも、女性に優しい。
 フェロモンむんむん!実にいいよ。」
そう言い電話を切ってしまう。

「なんか知らないけどすっごいむかつく!」みちるが呟く。

事務所を出ていく信介に、英治は八木のところにちゃんと謝りに
行くよう念を押す。
「言われなくても行くよ!」
「そんなに嫌ですか?
 ごめんなさーいって頭下げりゃ、済む話じゃないですか。」
「人にペコペコ頭を下げるのが嫌なんだ。
 独立すりゃ、そんなことはないって思ったのに。」
ブツブツ言いながら事務所を出ていく信介。

お好み焼き屋・道とん堀に電話をかける信介は、
用件を言い出せずに切ってしまう。
そして、急な胃痛に襲われ、いつものように中川病院へ。

「どうされましたか。」
「なんか、胃が、キリキリと痛んで。」
「胃が。どうしたんでしょうねー。」
「多分、ストレスじゃないかと。」
「・・桑野さんにもあるんですね、ストレス!」
「ま・・・。」
「ストレスから来る胃の痛み。
 この間の検査では、とくに問題なかったと思うんで、
 この場合は一度、心療内科に行かれた方がいいですね。」
夏美の話を聞きながら、机の上の整理整頓をし出す信介。
「いやこれは、すぐに治してほしいんです。」
「だったら、治療というよりも、ストレスの元を取り除いた方が
 早いですよ。」
「人生には逃げようのないストレスもあるでしょう。」
「私でよければ、話だけでも聞きますよ。」
「・・いいです。」
そう言い診察室を出ていこうとする信介。
「あ、そうだ。この店、確かこの近くでしたよね。」
「道頓堀?近いですよ。結構おいしいです!」
「行くんですか?」
「たまに。
 オーナーの八木さんが、ここに診察に来られることもあるんで。」
「知り合いですか?」
「ええ、まあ。何か?」
「・・お好み焼きって、結構ヘルシーなんですよね。」
「知ってますよ。それが?」

八木の店にやって来た信介と何も知らない夏美。
「めずらしいですねー。
 桑野さんが、食事に誘ってくれるなんて!」
ビールを飲みながら夏美が言う。
「え?誘いましたっけ。」
「・・・まあいいです。お好み焼きは好きだから。
 やっぱり、自分で焼くのが楽しいんですよね。」
「お好きなのは、関西風、関東風、広島風、どれですか?」
「え?・・・さあ。どれでも・・・。」

お好み焼きが運ばれてきた。
「なるほど。ここは関西風ですね。」
信介が鉄板に丁寧に油を伸ばし始める。
楽しそうに、いきいきと!
信介が扱うヘラをじっと見つめる夏美。

その時、信介は八木の姿を見つける。
八木を見つめながら、鉄板の上の油を伸ばし続ける信介。
それを見つめ続ける夏美。

「・・・私が焼きましょうか?」
「ああどうぞ。」
夏美がお好み焼きをかき混ぜ始める。
八木が店の奥に消えるとほっとしたように視線を鉄板に戻す信介。
夏美にお好み焼きを焼くのを任せたものの、いつものウンチクを連発。
「お聞きしますが、それは、どういう趣旨でかき混ぜているんですか?」
「趣旨!?
 かき混ぜるのに、趣旨があるんですか?」
「お好み焼きの具をかき混ぜるのは、
 適度に空気を含ませるのが目的なんです。
 それを意識して、混ぜて下さい。」
「・・・はい。」
「あ、混ぜすぎると、キャベツから水分が出てしまいますから、
 その点、充分注意して。」
「・・・はい。
 詳しいんですね、お好み焼きのこと。」
「常識です。」
「・・そうですか。」
「はい、いいでしょう。」
「はい。」
夏美が具を鉄板に乗せようとすると、
「関西風は鉄板の上に厚さ3㎝ぐらいに伸ばすのが標準なんです。
 まず山盛りにして、そこから伸ばしていく方がいいでしょう。」
「はい。
 ・・・・・
 自信がなくなってきました。
 お願いしてもいいですか?」夏美、泣きそう!
「出来ないなら、最初から言って下さい。」
信介は夏美から受け取ると、かき混ぜ直したあと、鉄板の熱さをチェック。
手慣れた様子でお好み焼きの形を整えてみせる。左手のポジションがまたおかしい!

その頃、みちるは英治と沙織(さくら)と一緒に屋外の店で
ビールを飲んでいた。
「今日は、沙織ちゃんに聞きたいなーと思ってさー。」
「何でしょうか。」
「英治君って、あなたの理想の相手なの?」
「は?・・・さあ・・・。
 別に考えたことないですけど。」
「テキトーかよ!」
「英治君はどうなのよ。彼女が理想のワケ?」
「・・そうに決まってるじゃん!」
「うわ。なんか今の、取ってつけたような感じ!」と沙織。
「そうだったよねー!」とみちる。
「そんなことないよ!」
「じゃあ沙織ちゃんのどこが理想なのか言ってごらん。」
「人のデートに乱入して波風立てるようなことすんなって!」
「あ、逃げたー!」とみちる。
「逃げた逃げた!」と沙織。
「ねーっ!」みちると沙織が声を揃える。
「2人仲良かったっけ!?」
「私って、全然モテないってわけでもないから、
 誰でもいいと思えば相手くらいいると思うのよー。
 でもテキトーな人と付き合うのもねー。」とみちる。
「でも、ダメダメな男でも、付き合ってから、理想の男に
 教育するっていう手も、ありますよ!」
「あ、それあるかも!」
「でしょ!」
みちると沙織が握手する。2人は意気投合!?

再びお好み焼き屋。
「この辺で少し回転させるんです。」
「どうしてですか?」
「こうすると、鉄板の温度にムラがあっても、安心なんですよ。」
「へー!」感心する夏美。

ソースを満遍なく、丁寧に塗り、青海苔、そして鰹節を
左手を右手に添えて丁寧に乗せる。

「そろそろいいかな。」腕時計をちらっと見ながら信介が言う。
「あのー、マヨネーズは?」
「邪道です!」
「すいません。」

「よし出来た!」
手際よく切り分ける信介。
「どうぞ。」
「いただきます!」
夏美がお好み焼きを口に頬張る。
「おいしーっ!!」
「美味しいように作っているんです。」

そこへ、八木が夏美に気づき挨拶する。
「あ!!」八木が信介に気づく。
「どうも。」
「お知り合いなんですか?」
「え、ええ、ええ。まあ。」動揺を隠せない信介。
「あの・・お2人は?」
「えー・・この方も、私の患者さんです。ねえ。」
「え、まあ、そうなりますか。」
「そうですか!
 なかなかいい先生でしょう?」
「ええ・・・。
 あの・・・今日のことなんですけど・・。」
「まだ・・何か?」思わず鼻を押さえる八木。
「あ、いえ・・・。」
「何の話ですか?」と夏美。
「あ・・ちょっとしたトラブルですが
 たいしたことじゃないんですよ。」と八木。
「たいしたことじゃなかったのか・・・。」信介が呟く。
「まだ、事を荒立てたいんですか?」
「わ、私は、ただ、」
「まあ、たいしたことないんなら、いいじゃないですか。」と夏美。
「そうですね。」八木が笑顔で答える。
「も、申し訳ありませんでした。」信介が頭を下げる。
「もう、水に流しましょう!
 それより、美味しいでしょう、うちのお好み焼き。」
「お好み焼きって奥が深いんですね~!
 焼き方も難しくて。」と夏美。
「いやぁ、テキトーでいいんですよ。
 要は、みんなで楽しくワイワイ食べればいいんですよ。
 焼き方なんか気にしてたら、何も楽しくないでしょう。
 ねえ。」
八木の言葉に固まる信介。
「そうですよねぇ!」夏美が信介を見つめながら言う。
「じゃ、今日はビール奢っておきますから。
 ごゆっくりして下さい。」
八木はそう言い席を立った。

その帰り道。
「要するに、1人で謝りに行くのが嫌で、
 それで、私があの人の知り合いだと知って、
 誘ったわけですね!
 普通に謝れば許してくれるでしょう!?
 いい人だし!」
「あの人のこと、ずいぶんと高く評価しますね。」
「仕事がちゃんと出来る上に、常識があって、
 円満な人間関係を築ける人のことは評価するでしょう、ふつう。」
「常識ぐらい僕だって心得ていますよ。」
「お好み焼きの焼き方は、常識っていうより、うんちくでしょう?
 むしろうんちくを語りたくても、
 それを抑えるのが常識じゃないんですか?」
「常識どおり生きるなんて誰だって出来ますよ。」
 たとえ常識から外れても、
 自分を貫き通すことに価値があると思いますけどね。」
「どう生きようと自由ですけど。
 ずっと一人でいいなら。」
「常識に従って生きてるのに、一人のままよりは、
 いいと思いますけどね。」
「もしかして、私のこと言ってます?」
「今のあなたのリアクションは、心理学で言う投影です。
 ちなみにこれは、常識というよりも、うんちくですけどね。」
「そうですかー。 
 じゃあ、とことん我が道を行って下さい。」
「言われなくてもそうしますよ。
 帰り、こっちなんで。」
歩道橋を降りていく信介に、
「ご馳走様でした。」と声をかけると、信介は背中を向けたまま
手を振り、帰っていった。

その後、信介はバーで良雄(尾美としのり)と合流。
「お母さんがさ、最近毎日のようにうちに来るんだよ。
 同居したいのかな。 
 確かに一人は寂しいだろうけど、
 どうしたもんだろう。」
「俺に聞くなよ。」
「お前の母親だろ!
 とりあえず今度、お母さんにどうしたいのか聞いてみてくれ。
 俺じゃ聞きにくいから。」

そこへ、金田が一人でやって来た。パーティー帰りらしい。
「この年になるとさ、パーティー行っても、
 自分が楽しむよりみんなを楽しませる方に
 エネルギー使っちゃうんだよね。」
「大人ですね。」とバーテンダー。
「年相応だよ。」

金田の話に耳を傾ける信介に、義男は義母のことをもう1度頼むのだった。

その帰り、いつものビデオ屋に寄る。
目的のDVDは・・・あった!
嬉しそうにDVDに近づく信介。
だが、あと一歩というところで、他の客の手が伸びた。
「これ、見る?」と男性客。
「えー、つまんなそう。」と女性客。
客がDVDを元の場所に戻す。
そっと手を伸ばす信介。だがその男が再びDVDを手に取る。
「やっぱ見よう。暇だし。」「うん。そうだね。」
悔しそうな信介!

その信介の視界に入ったのが、アダルトコーナー。
嬉しそうにそこへ向おうとするが、あと一歩、というところで
人の気配。指を鳴らして悔しがる信介。
そしてビデオの棚の隙間から除くと、アダルトコーナーにいた人物が
棟梁だと知り、信介はしばし見つめるのだった。

いつものコンビニで牛乳2本と青汁5パック等を購入。
「スプーンは、」
「いりません。」
「ポイントカードは、」
「ありません。」
「・・はい。957円になります。
 1000円から、お預かりいたします。」

おつりを受け取ろうとする信介の手のタイミングにまた笑っちゃいます。

翌日。
信介が八木に謝りに行ったことを知った摩耶も英治も大げさに驚く。
「ご褒美に新しい仕事!」
摩耶が持ってきた新しい仕事は、有名なイラストレーター・結城(白井晃)
の新築工事依頼。
300坪の土地に、アトリエも一緒に作ってほしいとの依頼だ。

新築にあたって結城亭で、顔合わせのホームパーティーが開かれる
ことになり、信介は渋々参加することに。
ケンカをしないこと、映画のウンチクを語らないこと、
摩耶や英治にくぎを刺される信介。
女性を連れてくるように言われ、英治は沙織やみちるを誘う。

パーティ当日。
信介は人の和に入り込めず、隅の方で固まっていると、
英治が声をかけてきた。
「なんだこれ。」
結城の作品を見つめていると、そこへ摩耶が結城を連れて来た。
「先生の作品ですね!」摩耶が絵に反応を見せる。
「ええ。一番新しい作品です。いかがですか?」
結城が信介に感想を聞く。
固唾を飲んで見守る英治と摩耶。
「・・・ああ、
 なかなか・・・興味深い作品です。」
その言葉にほっとする摩耶と英治。
「ありがとうございます!
 あなたに作っていただく家には、私の作品を沢山飾りたいと
 思っているんです。
 希望としては、とにかく派手なのがいいな。
 うちでパーティー開いた時に、来た人がみんなびっくりするみたいな。
 生活感は排除。毎日がお祭騒ぎ。
 まあ、飽きがくれば、すぐリフォームすればいいわけだから。」

結城はみちるに目をつける。
「君、桑野さんの彼女?」
「そんなんじゃないです。」
「あ、そう。じゃあ、今度僕とデートしない?」
「え・・・」
「あとで、メルアド教えて。」

結城は桑野を気に入り、新居を任せることにした。

パーティー後、中川家を訪れる信介。
子供のアニメ映画に、お得意のうんちくを披露。
それを煙たがる家族たち。

信介が仕事をしていると、夏美から電話が入る。
「この間は、言い過ぎました。ごめんなさい。」
「いや。」
「聞きましたよ。
 結城シロウさんのお宅を設計するんですってね!
 あなたに常識がないとか言っちゃって、
 プロとして立派に仕事している人に、失礼だったって、
 反省しました。」
「有名人と仕事するからって、そんなに手のひら返したように
 言わなくても、いいでしょう。」
「別にそんなんじゃありません。
 素直に喜べばいいじゃないですか。いい仕事が来たんだから。」
「ま、あんまり気の進まない相手なんですけどね、
 たまには、常識的に振舞ってみようかと、思っただけで。」
「すごいじゃないですか!
 あなたも普通の人になれるかもしれませんよ。」
「そのご期待に添えるとは、思いませんけどね。」
「仕事のストレスに負けそうになったらご連絡下さい。
 心療内科紹介しますから。」
夏美はそう言い電話を切ってしまう。
「・・・はあ・・・。」夏美のため息。

バーで一人飲む信介。
金田がまた違う女性を連れてやってきた。
「僕のサイトを見てメールをくれる人はたくさんいるけど、
 返事を出したのは君だけだ。
 文章に個性があったからね。」
その女性は・・・みちるの友人、千鶴だ!
千鶴も信介の姿にびっくり!

金田がトイレに行った隙に、千鶴が信介にこっそり言う。
「会ったの、今日が初めてなんです。
 みちるには黙っていて下さい!」
「誰と会おうと、自由だろ。」
「抜け駆けしているみたいだし、恨まれるかも!」

その帰り、信介はマンション前で愛犬・ケンちゃんを散歩させていた
みちると鉢合わせ。
みちるが結城のパーティーに出席して以来、しつこくメールで
言い寄られていることを知り、我慢の限界に達してしまった。

翌日の事務所。
「やっぱり俺・・・この仕事出来ねーわ。」
と言い出した信介に、摩耶も英治も困惑。
「できないって、どういうこと?」
「辞める。」
「みちるちゃんがすごく傷ついているとかいうこと?」
「彼女のことは関係ないよ。
 第一そんなことで傷つく年かよ。」
「だったらいいじゃないですか。」と英治。
「あの男の考え方が気に食わないんだ。
 イラストも変だし。
 とにかく、派手な家作れ作れなんて。
 家を何だと思ってる。」
「だって、もう工務店とか内装業者とか押さえているし、
 みんな大きな仕事が来たって喜んでいるのよ!
 あなただけの問題じゃないの。
 結城さんとだって契約書交わしたじゃないのよ。」
「違約金請求されたらどうするんですか。」
「そんなもの俺が払ってやるよ。」
信介はそう言い事務所を出ていってしまう。

家に戻った信介は、牛乳を飲みながらクラッシック鑑賞。
そこへ、みちるが訪ねてきた。
「英治君から聞いたんですけど、私のことで仕事下りたんですって?」
「君の事じゃないよ。」
「私ならいいんですよ。
 メールが来たって無視していればいいんですから。」
「だから関係ないって言ってんだろ。
 もともとあいつの家を建てるのは気が進まなかったんだよ。」
「でも、私のことがなければやっていたでしょう?」
「ま、我慢したかもしれないけどな。」
「じゃあ我慢してやればいいじゃないですか。
 そんなことでいちいちキレてたらキリがないですよ。」
「俺は自分の気持ちに正直にいたいから、断っただけだよ。」
「変な人・・・。」
「変で結構です。」
そう言いドアを閉めてしまう。
「せっかく人が・・・
 もうほっとこう!」

一方、夏美の元には摩耶が訪ねて来ていた。
「あいつもあなたの言うことなら聞くんじゃないかと思って。
 だって、あなただけ部屋に入れたんでしょう?」
「入れたくて入れたわけじゃないと思いますよ。」
「そうだとしても、一度許した相手には、ガードが緩くなるっていうか。」
「そういう問題でしょうか。」
「それに、八木さんのことであなたにお世話になったんでしょう?」
「いや、お世話っていうか・・・。」
「お願いします。
 もう工務店とか内装業者とか、いろいろな所が関わってきちゃって
 今さらやめると困る人がたくさんいるんです。
 お願いします!」
夏美は摩耶に頭を下げられ・・・。

道とん堀。
「どういうことですか?」と信介。
「ええ・・・あの・・・
 この間、桑野さんが焼いてくれたお好み焼きが 
 すごーく美味しかったんで。」
「・・・この間はバカにしてませんでした?」
「そんなことないですよー。」
鉄板に油を丁寧に引く夏美。
「わかりました。」
信介がお好み焼きをかき混ぜ始める。
「空気を混ぜるように、かき混ぜるんでしたよね!」と夏美。
張り切ってかき混ぜる信介。
「山盛りにして、3センチぐらいの厚さに伸ばすと。」
夏美が微笑みながら信介が焼くお好み焼きを見つめる。
「・・・やっぱりなんか、裏がありそうだな。」
「え・・・。」
「何ですか?」
「・・・結城さんっていう人の、仕事の件です。」
「え?」
「予定通り、やるわけにはいかないんですか?」
「あなたには関係ないでしょう。」
「ありませんよ。でも・・
 あなたがこの仕事を断ると、困る人が沢山いるんでしょう?」
「・・・」
「ここは、私に免じてっていうか・・」
「意味がわからない。」
「この間はここで助けてあげたじゃないですか。」
「さあ・・・」
「そうですか。そういう人ですか。」
「ま、確かに、あなたには借りがあるかもしれません。
 でもそれとこれとは違う。
 これはね、僕の仕事なんです。」
「どうしてそう頑ななんですか?」
「ポリシーの合わない人の家を作っても、
 いい仕事が出来ると思えないからです。」
「医者は、相手のポリシーとは関係なく治療しますけど。」
「仕事の種類が違う。」
「そうでしょうか。
 私はいつも、患者さんと正面から向き合っています。
 あなただって、」
「生憎ね、僕が向き合っているのは家なんです!
 僕はね、ただいい家が作りたいんです!
 この点だけは、妥協できません!」
「・・・そうですか。
 しょうがないですね。
 ホント・・・しょうがない人です。あなたは・・・。」
見詰め合う2人。
鉄板から、ジュージュー音がしている。
「あ!!」
慌ててお好み焼きをひっくり返してみるが、黒く焦げてしまった。
「うわ、もうダメだこれ。やり直し。」
「食べられないことないですよ。」
「ダメですよ。ちょっと、お嬢さん!これ、捨ててください。」
「いいじゃないですか!これぐらい!」
「いやダメです。」
「やめなさいって!」

夏美の「やめなさいって!」がツボ!
結局あのお好み焼きはどうなったんでしょう!?


橋の上を別々に帰っていく夏美と信介・・・。

翌日、夏美が摩耶に電話をする。
摩耶は丁度、信介の事務所に到着したところ。
「あの、夕べ桑野さんに会いました。」
「はい。・・・どうでした?」
「それがその・・・」
信介を説得出来なかったことを告げようとしていると、
「あ、俺あの仕事やるから。」と信介。
「あの・・実は・・・」と夏美。
「やるって言ってます!」
「え!?」

「今朝になって急に結城さんに自分の家作りのポリシー
 ぶつけてやるって言い出して。
 ほんと何考えてるんだか。」英治が摩耶に言う。

「どうやら本気みたいです!
 ほんとにありがとうございました!」
「はあ・・・。」
「借りが出来ちゃいましたね。
 あいつをうまく操縦する、何か秘訣でもあるんですか?」
「さあ・・・」
「教えてほしい! 
 それじゃあお礼は改めて。失礼します!」

摩耶に感謝された夏美は「なんで?」と首をひねるのだった。

夜、まんが喫茶でマンガのあらすじをみちるに聞く夏美。
「現実は理想どおりにいかないものよねー。」
やっぱり、自分が男の人に求めるものって、
 お金とか地位より、
 私だけを見てくれるってことなんじゃないかな
って気がしてきました。
 まあ、コロコロ変わるんですけど、私。」
「私も、男性に求めるものがはっきりしたのよ。
 その人が何を考えているのか、ちゃんと理解できること。

その頃、信介はいつものビデオショップで、やっと目当てのDVDを
手にしていた。
意気揚々とカウンターに持って行くものの、店員に
「リメイク版ですがよろしいですか?」と聞かれた信介は、
「妥協したくないんで」と何も借りずに店を後にするのだった。


※一部公式HPあらすじを引用しました。


頑固で融通が利かなくて、ひねくれ者の信介ですが、
仕事のポリシーを貫く姿は立派だと思いました。
夏美の説得も、すごくよくわかります。
でも、芸術家ともなると、やはり譲れないポリシーや
妥協したくない点ってあるんだろうな。
建築家の信介は、本当に芸術肌な人間なんですね。
私も家を建てるなら信介に頼みたい。(笑)
妥協せずに、希望通りの家を作ってくれそうですね。
それに、お好み焼きもあの拘りが、すごく美味しそうでした!
うちはお好み焼きにマヨネーズ、欠かせないけど。(笑)

信介の偏屈さは、見ていて全然不快にならず、
それどころか、見ている間中、クスクス笑ったり爆笑したり。
夏美のリアクションも可愛い!
とくに信介と夏美の2ショットシーンは、見入ってしまいます。

八木さんは、最初に夏美が言っていた、理想どおりの人だったんですが、
最後に夏美が言っていた理想が変わったので、もう登場しないのかな。
おが屑と鰹節、見た目似てるし、何かリンクするのか、と
深読みしていましたが、外れました。

みちるのことがきっかけで、仕事を断った信介。
でも、夏美からの電話で、急に態度が変わった、と受け取ったことも
大きかったのかもしれません。

みちるに気にしないよう言われても動かなかった信介の信念を
動かしたのは、夏美でした。
どの言葉が効いたのかな。
やっぱり、「ほんとしょうがない人ですね・・・」って
悲しそうな目で見つめられたこと?
信介の心の中を読んでみたいです。

ただ引き受けるだけでなく、自分のポリシーを相手にぶつけると
決めた信介はカッコイイ!
派手さだけを求める結城亭を、信介がどう仕上げるのか見てみたい!
結城とぶつかるところも見てみたい!

現代っ子風なみちるも、理想がだんだん変わっていますね。
本人曰く、コロコロ変わるらしいですが。(笑)
みちるがどんな恋人を見つけるのかも楽しみです。

みちるが英治に金田のことを聞いた時、英治は大反対。
それに「ふーん・・・」という反応のみちる。
ところが信介が金田をわざと薦めると、
「なんかムカツク!!」と、みちるの反応。
もしかして信介は人を操縦するのが上手なのかも。

次週、竜雷太さん出演ですね。楽しみです!
夏美のお父さん?
しょっちゅう信介の妹の家に入り浸っているお母さんは、
やっぱり寂しいのかな。
もしかして、夏美のお父さんと仲良くなれるかも
しれませんね。

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