대본

タイガー&ドラゴン 第 3 話

塚本高史 2007. 11. 20. 23:36

『茶の湯』

本日、オープニングで高座に上がったのは銀次郎(塚本高史)!
出囃子は、『男の勲章』!
つっぱることが男の~たった一つの勲章って~
誰よりも信じてた~♪

「え~。毎度ばかばかしいお笑いを。
 つーか自慢していいっすか?
 自分最近、彼女出来たんすよ。

 あ、この女(メグミ)(伊東美咲)じゃねーっす。
 これもいい女なんっすけどね。
 ちょっと俺の手には負えねーって、
 俺の中のシナリオライターが言うんで。
 あ、うそうそ。アニキに言われたんっすよ。」


メ「もしもし、トラボルタ~!?」
虎「トラボルタじゃね~よ!!あ"-っ!?
  休憩の度にいちいち電話してくんじゃねーよっ!
  だから忙しいって言ってんじゃね~かよっ!」
助手席に座る虎児は車を運転する銀次郎に気遣いながら携帯で話す。
銀次郎も車を停め、携帯から彼女に電話をかける。
リ「もしもーし。いやぁ~だ~。ギンギ~ン!!」

 ハイ、ストーップ!
 これが俺の彼女。可愛いっしょ!つーかマジ可愛いっしょ!
 リサっていって、裏原のショップで働いているんっすよ。


銀「だから忙しいっつってんだろーっ!あ~!?」
リ「そっちからかけてきたんじゃん・・・」

虎「あ"~!知らねーよ。お前に関係ね~だろうがよ!
& あ"~!?
銀 あぁ。(二人同時にサングラスを外し)
  じゃ、今度な。
  切るぞ。(二人同時に携帯を切り、髪を直す)」

「なんか面倒くさいっすね、女って。」と言いながら嬉しそうな銀次郎。

 あの、足崩して、いいっすか?(あぐらを組む銀次郎)
 で、俺のアニキね。トラボルタ。
 カッコいいんだけど、ユーモアのセンス、ゼロなんっすよ。
 それなのに、落語家に弟子入りしちゃいましてね。」


虎児は組長(笑福亭鶴瓶)から、谷中正吉(=林屋亭どん兵衛)(西田敏行)
の返済額を月々10万から20万に変更するように言われる。
月々10万だと完済するのは2008年。
それまで虎児がカタギになれないことを心配してのことだった。

その旨を師匠である谷中に伝える虎児。
「つうワケなんで、20万に値上げしろ。
 落語一個教えてくれたら俺があんたに20万支払う。それで文句ね~な?」
「そんなに無理しなくても、月に噺2個覚えれば20万になる。」と師匠。
「そっちの方が無理だ!俺を甘くみるんじゃね~ぞ。」
「まぁ、私の方は構わないけど。」
「・・・20万かぁ。キツイなー。」虎児が呟く。
「ねぇ小虎。いっそのことどうなんだろう。
 お前さんが全額払っちまったら。
 そしたら、そっちのペースに合わせて」
テーブルを蹴り師匠の言葉を遮る虎児。
「調子こいてんじゃねーぞ、オイ!」

 こいつが師匠の息子・竜二。
 落語は天才的にうめえらしいんだけど、洋服のセンスはゼロなんっすよ。

ドラゴンソーダ。
「もっと変な服ありませんか?1000円くらいの。」と客に言われ
「帰れ~!!うちは東急ハンズのパーティーコーナーじゃないんだ!
 帰れ~!!」と絶叫。
 カメラさん、もうちょっと右寄ってくれませんか?
 もう、気持ち右。ストーーップ!!

店長を必死に止めるリサの姿が映る。
 やっぱ、かわいいわ~。
 あ、すいませんね、自分の話ばっかで。
 自分大好きなもんで。
 まぁいいっすよね。俺今日あんま出番ないみたいだし。
(静まり返る客席)
 ・・・なんだこの空気・・・何か言うんでしたっけ!?

 タイガー&ドラゴン!!」



楽屋で人生ゲームを楽しむ林家亭一同。
そこへどんぶり(深水元基)が、変な客がいるので気をつけるよう
言いにくる。
一番前の真ん中に座り、噺を聞かずにちくま文庫の落語集を
読んでいるらしい。
「それ俺の車だぞ!てめ~のはオレンジのだろがよ!」
間違えた師匠に虎児の怒り炸裂。みんなに千ドルずつ払えと言う。
うどん(浅利陽介)に「小虎、めくり!」と促され席を立ったあと、
「たかがゲームじゃないか・・・。」とあきれ返る師匠。

高座の座布団をひっくり返したとき、虎児は客席に視線をやり
「ぶっほ!」と驚く。
最前列真ん中に座る男はまぶたの上に目を描き、
その「目」でこちらを睨んでいるのだ。

その男の名は、淡島ゆきお(荒川良々)。
「アマチュア落語のチャンピオンかなんかで、評論家気取りの
 いけ好かない奴。」
「だけど、あいつが認めた若手は必ず売れるって、
 落語マニアの間では、一目置かれているらしい。」
「誰見に来たんですかね?」
兄弟子たちの会話を聞いていた虎児、
「俺かもしんねえ!」兄弟子たち、し~~ん。
その男は、先日そば辰で虎児と竜二に話しかけてきた男だった。

数日前、そば辰にて。
「拝見させていただきました。あなたの高座、『饅頭怖い』。
 勢いという意味では若手の中で抜き出てる。
 特にクライマックスの展開とスピード感。
 さげ(落ち)を2回重ねるという、
 ともすれば下品にもイヤミにもなり兼ねない荒業を
 ぎりぎりのラインで爆笑に変えるあたり、
 新人らしからぬ凄みを感じたのは確かです。」
「文句あるならはっきり言えよ、コノヤロー!」激怒する虎児。
「誉められてるんですよ、めちゃめちゃ誉められているんですよ。」
と竜二。
「だが一言わせてもらえれば、あんなものは落語じゃない。
 チンピラのよた話だよ。」淡島が続ける。
「ふっ。ありがとう。」虎児、ご満悦。
「今のは誉められてねーから。」と竜二。
「古典をやる自信がないなら、オリジナルの創作落語をおやんなさい。
 あれじゃ、古典に対する冒涜!いや、単なる盗作!泥棒だ!」
と蕎麦を握り締め力説する。
「蕎麦置いて下さいよ。」竜二が言うと
「おっと。誰かと思えば林屋亭どん兵衛の次男・小竜さんだ。」
「残念ながら廃業しました。」
「そいつは良かった。完全に伸び悩んでいましたからね。
 あなたの『品川心中』を志ん朝と比較する人がいましたが、
 私に言わせりゃあんた、志ん朝の墓にへばりつくナメクジ以下だ。」
「廃業したから何言われても悔しくないんだよっ!」突っかかる竜二。
「これ、私のお名刺。
 それと老婆心ながらインターネットにあなたの落語評書いておきました
 から、読んで勉強して下さい。」

その時の名刺を師匠に渡す虎児。
『ジャンプ亭ジャンプこと
 淡島ゆきお』
と書かれていた。

「落語の腕も相当なものらしいですよ。
 小朝師匠や志の輔師匠がほれ込んで弟子にしようとしたら、
 俺は俺の中で既に真打だって、断ったらしいですよ。」
どん吉(春風亭昇太)が説明する。
「たいしたもんだ、小虎。客がついちまったよ。」と師匠。

高座にめくりに行き、客席を見て再び「ぶっほ!」
今度は立川談志に変装した淡島ゆきおの姿!

ネットで虎児の落語評を調べる銀次郎とリサ。
『今年くるのは小虎でしょう。つーかもうきてるっしょ。』
なかなか好評のようだ。
「まああんたが売れてオヤジの名前継いでくれれば
 俺は一生落語をやんなくて済む。」と竜二。
「俺が・・・師匠の名前を・・・」ちょっと嬉しそうな小虎。
「出かけんぞ、ブス!」
リサにそう声をかける竜二に銀次郎、怒る!
「・・・元・・・ぶす。」竜二は言い直す。
「よし。」と銀次郎。
リサに店番を頼み竜二はどこかへ出かけていく。
「どうせ誰も来ないよ。」とリサは呟く。
「今日も売り上げは缶バッチ1個。
 雑誌にでも取り上げられなければ潰れるね。」
リサは銀次郎にそう言った。

「来たーーーーっ!!」
その時竜二郎が雄たけびを上げながら店に戻ってきた。
「BOSS片岡(大森南朋)っす。
 ストリートファッションの神様っす。
 無名のデザイナーとコラボしたスニーカー作ってバカ売れしたり、
 最近は新人アーティストの発掘とか、
 有名レストランのプロデュースもやっているんすよ。
 あとショップとコラボして写真集出したり。
 この間明治通りに出来たカフェもBOSSのプロデュース。
 コラボっていう言葉自体BOSSが作ったという噂がある。
 BOSSに認められたら間違いなく来るって業界じゃ一目置かれている。」
竜二らは口々に虎児に説明する。
その時、BOSSが取材陣を引きつれ店の前を通る。
だがちらっと店に目をやり、そのまま素通り。
「くっ。やっぱ来ないか。」竜二、無念。
虎児が「びびらして」連れて来ようとしたとき、BOSSが店内にやってくる。
「どうも。」とBOSS。
「いらっしゃい。」声の震える竜二。

「もう一度聞きますよ。本当に、私でいいのかい?」と師匠。
「はい。」そう答えたのは、なんと淡島!
「なぜ、小朝、志の輔でなく、師匠の所へ入門したいの?」とどん吉。
「一番私と、キャラが被んないから。」
「大きく出たね。この大きなのっぽの古時計!
 ぼーんぼーんぼーーん!3時です。」とどん太(阿部サダヲ )。
夫のギャグにパー子笑いする鶴子(猫背椿)。淡島が続ける。
「弟子もぱっとしないから、出世も早いのではと思いまして。」
「じゃ、見習いからやってみるか?
 てことは、名前だな。
 どん太、どん吉、どんつく、どんぶり、
 で、お前は・・・どんぐりだっけ?」
「うどんです。」
「あんたが付けたんでしょう?
 じゃ、チャンドンゴンなんてどうですかね。」とどん太。
「嫌です。せっかくですが私には、ジャンプ亭ジャンプという
 名前で、お客もついていますので。
 それから質問。」
「なんだい?」とどん太。
「お前に聞いていない!
 あの人、どなたですか?」
淡島の視線の先には、なぜか谷中家でくつろぐメグミ。
「メグミ・・・です。よろしく♪」
淡島の顔が赤くなり、どん太たちに冷やかされる。

うどん君、いつも名前を忘れられてる。(笑)
『どんぐり』と言われたあと、みなさん笑ってたような。
アドリブだった!?(笑)


ドラゴンソーダ。
BOSSは取材陣に、
「こういうお店に入るとつい、ストリートプロデューサーの目に
 なりますね。」と言われ、
「嫌いなんだよね、その肩書き。
 俺はこうやって、自分の足で街に出て、次に来るバイブス、
 感じるだけだ。
 俺って基本、人にカテゴライズされるのが嫌いな奴だから。」
その言葉の意味が全然通じない虎児。
その言葉に共感する竜二。
竜二の服を手に取り、
「これ、来てるね。相当ヤバイ!
 こういう流行に流されないダサイ感じ。逆に新しい!」
竜二から名刺をもらい、
「今度うちらでクラブイベントやるから遊びに来れば。
 ゲストで名前入れておくから。
 音楽とかファションとかアートとか。
 そういう垣根全部とっぱらっちゃって、同じ匂いのするヤツらと
 コラボしようと思ってんの。竜ちゃんもどう!?」BOSSに言われ
「やりますよ!!竜ちゃん、やっちゃいます!!」
「落語は?」虎児の言葉を無視し、大感激の竜二。

虎児が谷中家に戻ると、自分の部屋にいる淡島にびっくり。
「ちょっとお母さん!お母さん!!母ちゃん!!!」
「見習いで1ヶ月預かることにしたの。だから今日から相部屋!」
「あいつと~!?」
「お風呂お先にいただきました~!」とメグミ。
「お風呂いただいてんじゃねーよ!」メグミに怒る虎児。
「虎ちゃ~ん!遅かったね。ビール飲む~?」
「帰れ!今すぐ会社の寮に帰れ!」
「私もビール頂いちゃおうかな~!」と小百合。
「母ちゃん。甘い顔しちゃダメだよ~。
 この家他人だらけじゃないかよ。あ、俺も他人か。」
なんだか本物の家族みたいですね。

虎児の部屋に3人川の字になって布団を敷く虎児・淡島・メグミ。
「ね~ね~虎ちゃん。私たち、付き合っているのかな?」
「付き合ってねーよ。」
「2回もしたのに?」
「馬鹿!起きたらどうすんだよっ!」
「大丈夫だよ。この人童貞なんだって~!面白いよね。
 メグ、童貞なんて肉眼で見たの初めて。」
「早く寝ろ!お前明日早いんだろ!」
二人はすぐに眠りにつく。
その間で、眠れなくなってしまった淡島はパッチリ目を開けていた。

竜二はBOSSの事務所に呼ばれて行く。
マジに俺でいいんっすか?」お父さんと同じセリフ!
「あれから何軒か回ったんだけど、どこも小奇麗にまとまってて
 面白くないんだよね。竜のは、なんつーか、毒があるっていうか。」
BOSSは『燃えるドラゴンナイト』というクラブイベントを企画し、
そのイベントのチケット代わりに、竜二にリストバンドのデザインを
依頼する。

谷中家の朝食。
家族と弟子たちとメグミが揃って食事する中、挨拶もせず
一人出かけようとする淡島。
「こうやってみんなで食事をしながら、兄さんのつまらない冗談に
 付き合うのも修行の一部。」
師匠に言われ「コーヒーだけいただきます。」と淡島は席につく。
「小虎。もうそろそろ、新しい噺を覚えようか?」
師匠に言われ、財布の中身を確認する虎児。
「頼む。『饅頭怖い』みたいに爆笑系を教えてくれ。」
「『茶の湯』でもやってみるか?」
「『茶の湯』?」
師匠は今日、高座に上げると約束する。
「淡島君どうするの?」と師匠に聞かれ
「自分は下っ端ですから、『饅頭怖い』でも。」
虎児を見つめながらそう答える。

高座に向かう淡島は、すれ違いざま、虎児を睨みつけていく。

「え~。蔵前のさる大家のご主人。
 若い頃から金を溜める一方で何一つ道楽がない。
 倅に代を譲って、自分は楽隠居ってことになったから」

「おっ。『茶の湯』だね。」観客席の辰夫が言う。

楽屋で人生ゲームを楽しむ師匠たち。
師匠は竜二の成功を嬉しそうに弟子たちに伝えていた。
そこへ虎児がやってきて
「あいつ『茶の湯』やってるぞ!」と報告する。
師匠の表情が曇る。

「定吉!」
「へ~い。 
 しかしまぁ根岸ってとこは蔵前と違って寂しいとこでやんすね。」

「ヤロウ!師匠と張り合おうって腹ですよ。」
「引きずりおろしましょうか。」と弟子たち。
「ちょっと黙ってろよ。」真剣に聞く虎児。
「ま、お手並み拝見といきましょう。」と師匠。
「琴はしっかくとは言わない。
 琴は奏でる、と言う。」
「自分の爪が短いもんですからね、長い爪をこうひっ足しましてですね、
 誰も見てないと思って、目をこう、すえまして、 
 こうですね、こ、こ、こう、バリバリバリバリバリ。」

観客、大爆笑。虎児もその面白さに感心する。

「ご隠居も、煙草ばっか呑んでないで何かおやりなさいよ。」
「いやぁ、私もかねがね、やろうかなと思っているものはあるんだよ。」
「なんでやんす?」
「茶の湯だ。」
「あーあー。あの蔵前の若旦那がぐるぐるかき回して飲んでるやつだ。
 おやんなさいよ。」
「しかし随分と前に習ったもんだから忘れちまったんだよ。」
「何をでやんす?」
「・・・全部だよ。」
「それ忘れたんじゃなくて知らないんじゃ。」
「そんなことはないんだよ。やれば思い出す。」
(茶碗を手に考え込むご隠居)
「う~~~ん。う~~~~ん。
 この、茶碗の中に、確か、青い粉を入れたと思うんだが。」
「青きな粉ですか?」
「はぁぁ。青きな粉。青きな粉。ははっ!」
(青きな粉を入れお湯を足すご隠居)
「根岸の里移ってから、茶の湯三昧。俗物にはわかるまい。へへへ。
 こうやってな、ざぶざぶってやるわけだ。」
「そろそろ、ご馳走になりたいもんでやんすね。」
「そう慌てるな。こうやってるうちにな、泡が立ってくるんだ。」
「おかしいですね。蔵前の若旦那はちょちょいってやるとすぐに泡立つのに
 ご隠居の、立ちませんね。」
「あぁ!何か、泡の立つ薬を入れたかな。」
「それ、椋の皮でやんすか?」
「椋の皮!」
※椋の皮=水に入れてかき回すと泡が立つ。
 昔は石鹸の代わりなどに使った。

(茶釜に椋の皮を入れる)
「おそろしく立っちゃいましたね。」
「おぉ。かき混ぜる手間が省けるというものだ。
 この泡を、こういう風にすくって。
 さぁ、飲め。」
「・・・ご隠居からどうぞ。」
「飲め。茶の湯に遠慮は無用。」
「いえ。あの、私、作法がわからないもんで。」
「あぁ。そうか!作法を教えていなかった!
 こういう風にな、手のひらにこう、乗っけて、
 三度ほどな、こう回して、
 口元に持ってくるんだ。
(茶碗を左手に乗せ、その手ごとぐるぐる回し始める隠居。)
 泡がなにせいっぱいあるんでな、
 泡を、向こうかしに、ふっと吹いて」
(ズズズ・・・ゴクン!)
「!!」
吹き出したいのをぐっとこらえ飲み込み、
「あ~~~風流だ。
 飲め。」

「ふーーーっ。ズズズ・・・!!!」
ひっくり返って味の悪さを表現する淡島。

「なかなかパワフルな落語するね~。」と、おでん屋の半蔵(半海一晃)。
「わたしゃ好きになれないね~。」と辰夫。
「風流~だ~ろ~。」
「はい。風流ってもんは、腹がゴロゴロするもんでやんすね。」
「おぉ~、お前も風流、わかってきたな。」

会場、大爆笑。弟子のうどんもクスっと笑い兄弟子に叱られる。
そんな中、そっと楽屋に戻る師匠。
「師匠、ネタ、変える気だな。」

高座に上がるどん兵衛。
「よっ!待ってました~!」観客から声がかかる。
観客席の後ろから、淡島が見つめる中、師匠の落語が始まる。

「え~。いっぱいのお運びで、ありがたく御礼申し上げます。
え~。日本には、風流という美しい言葉がございますな。」


BOSS片岡のオフィス。
竜二が持ってきたデザインを見るBOSS片岡。
「うわぁ!来てるね~!ヤバいよ、これ。」
「普通リストバンドってタオル地じゃないですか。
 そこを敢えて、メッシュなんです。」
「汗も吸ってくんないんだ。ヤバいよこれ!」

「まぁこの風流。わかる人にとっちゃ、たまらない物なんですよね。
 でもわからない者にとって、この風流というやつはまぁ、
 迷惑以外の何者でもないんですなぁ。」

「あれ、どんちゃんも『茶の湯』やるのかい?」と不思議そうな辰夫と半蔵。
淡島も高座の師匠をじっと見つめる。
「蔵前の、さる大家の主人。
若い頃からお金をためることばっかり・・・」

「頭!!ごめんくだせぃ。」
「おぅ!誰かと思ったら豆腐屋の。」
「こんにちはぁ」(頭の妻)
「かかぁはくっちゃべっていね~でさっさと行け!」
「わかってるよ!」
「たいそう取り込んでいますけど・・・」
「おめーには随分世話になったがな。
 よんどころのね~ことでで引越しだよ。」
「え!?よんどころのね~ことで、あっしも引越しなんです。」
「なんだって?あんなに繁盛してたのに。」
「頭んとこだって、4~5日前に大工が1本入ったばかりでしょう。」
「それが聞いとくれよー。ご隠居んとこから手紙が来てね、
 茶の湯やるから飲みに来いって。」
「えっ!?頭んとこも?」
「おめ~んとこもかい?」
「えぇえぇ。
 茶の湯っていうのはこう、ふすまの開け閉めから座り方まで
 お流儀があるでしょう。
 知らね~で恥かくのはこっちですからね。
 今日断ったら明日といったあんばいで、
 こうなりゃ茶の湯に取り付かれたようなもんで
 いっそのこと引越ししちまおうって。」
「うちなんか親族会議よ。
 婆さんが『代々後ろ指指された事ないこの家が
 お前の茶の湯ぐらいで恥をかいちゃ
 ご先祖様に申し訳がない』って。
 そうなりゃ茶の湯に攻め立てられない所に引っ越そうって。」

会場、大爆笑。
「やっぱり、どんちゃんの『茶の湯』は別格だ!」と辰夫。
師匠を見つめていた淡島は、そっと会場を後にする。
「するって~と、隣の手習いの先生んとこにも来てるんじゃないのか?」
「はぁ!手習いの先生だったら茶の湯ぐらい知っていますよ。」
「(トントントン)ごめんください。「(トントントン)ごめんください。」
「おぅ。これはこれは。」(荷物を運び出す子供たち。)
「ずいぶん取り込んでいますね~。」
「ちょっとな、よんどころないことでな、引越しをなぁ。」
「うは!よんどころないが、流行ってら~!
 隠居のところから手紙が来たろ~?
 茶の湯で恥をかくのが嫌いで引っ越すんだろ?」
「お前さん、人相見るんかい?」
「じゃ、先生。茶の湯をご存知ないんで?」
「いやいや、飲みようぐらいは知っておる。ハハハ」
「そ~いつはよかった!引っ越さなくてすむぞ~!」
「流儀によっていろいろあるから・・・」
「いいから行きましょう!」
三人は隠居のを見て覚えようと、
隠居はまた三人をも見て覚えようっていうんですから、
なんか頼りないんですな。

「どうぞ。」
(先生にお茶を差し出すご隠居。
 茶碗を手に取り、茶碗を手の上で3回回す。
 茶碗だけを回すことに気付くご隠居と定吉。
 茶碗に口をつけ、鼻の頭に泡をつけながら、
 吹き出しそうになったお茶を首を振りながら必死に耐え、
 ごくんと飲み込む先生。)
「ああして顔しかめて首ぐるぐる回すんだな。」
(豆腐屋も同じように飲み込む。
 頭も同じように。だが飲み込めず、お茶菓子をパクっと口に入れ
 一緒に飲み込む。)
「いやぁ。風流ですね~。」
(先生と豆腐屋も菓子を口に頬張り)
「ハハハハハ・・・・」とみんなで笑う。


師匠たちが家に帰ると、竜二が出迎える。
「コラボだよコラボ!BOSS片岡のプロデュースだってこれ!」
リストバンドを手に、どん太も弟の成功に上機嫌。
「あれから正式にオファーが来たんですよ。
 デザイン任されてOKが出たら毎月2000個ずつ生産してくれって。」
竜二の成功を虎児も喜ぶ。だが師匠は無反応。
それよりも淡島の事を気にかけている様子。
「ねぇどんちゃん。コレ、感想ぐらい言ってあげて。」
さっそく腕につけたリストバンドを指差し、小百合が夫に言う。
師匠はリストバンドを一つ拾い上げ、
「あ、これか?おぉ、なかなかいいじゃない。こりゃ風流だ。」
そう言い、わざと手から落とす。
「なんだそれ。馬鹿にしてんのか!」
「馬鹿にしているよ。道楽でやっている物に意見したってしょうがないだろう。」
「道楽じゃねーって言ってんだろーが!」
「だったら一人前になるまで帰ってこないくらいの気持ちで
 やってみたらどうなんだ!」
言い合いになる二人に割って入る虎児。
「小百合ちゃんが泣いていますよ!」
みんなの視線は爪楊枝を使う小百合ちゃんに。
「泣いていませんでした。まだ馴れていないんでちょっとタイミングが。」

「小虎。今日くしくも、二つの『茶の湯』を聞いたわけだが、どうだったい?」
「本当のこと言っていいのかよ?」
「ああいいよ。」
「笑ったのは、淡島の。」隣に座る淡島に視線を送る虎児。
「でももう一回聞きてーと思ったのは、師匠のだ。」
「そうか。なるほどな。
 まー、やる人間によって古典ってーのは、
 がらり~と印象が変わるものなんだよ。
 それがまぁ、古典の面白いところなんだよ。
 正解なんてーのは、ありゃーしないんだよ。
 だからな、小虎。お前さんはどうアレンジするかだな。」
「いや。アレンジしねー。
 今日こいつのを見てて思ったんだけど
 若いとか経験が浅いとか、そんなの言い訳になんねーよ。
 今度こそきっちり古典をやりてー。いや・・・やる!」
「ふ~ん。あ~そうかい。へ~。なるほど。うん。あ~そうかい。
 おぅ、がんばんなよ。」虎児の言葉に嬉しそうな師匠。
「それでまぁ、淡島君。」
「はい。」
「残念なんだけどさ、私はあんたに教えることは一つもねーな。
 いや、確かに腕は認めるよ。う~ん。たいしたもんだよ。
 古典はちゃーんと自分のものにしてるしさ。
 だけどね、あんた、人から物を教わろうっていう姿勢が、
 出来てねーんだよな。
 勉強する気のねーやつに教えるほど私も暇じゃないんでね。
 まぁ、悪いけれど、このうちからは、出てってくれ、な。」
頭を下げる師匠。
「お世話になりました。」
淡島が素直に頭を下げることに驚く師匠。

家を出ていく淡島を追う虎児。
「面白かったよ、あんたの『茶の湯』。それだけ言おうと思ってよ。」
「競争しましょう。どっちが先に真打になるか。
 また、見に行きます。」
そう言い、淡島は暗闇へと消えていった。

高座に上がる虎児。
「みんな羊羹ばっか食いにくる。
 茶の湯もいいが、羊羹にこう金がかかっちゃ敵わない。
 安い菓子をこさえようってんでね、 
 さつまいもをふかして、黒砂糖を入れて蜜を加えてガラガラすって、
 ゴマ油がないんで、灯し油をお猪口の周りに塗りまわすと、
 スポンと抜けた。
 まぁ、見た目は美味そうだがひどい代物だ。
 これを利休饅頭と名付けまして。」

退屈そうな観客たち。
途中抜け出したり、あくびをしたり、時計を見る者もいる。

ドラゴンソーダ。
パソコンで虎児の評判をチェックするリサたち。
評判はがた落ち。
「なんなんだ、こいつら。何もわかってねーよ!」と虎児。
虎児は竜二に落ちの意味がわからないと訴える。
「まずい菓子出された客が、便所行って便所の窓から畑に捨てるんだよ。
 そしたら農民の顔に当たってよ。
 そしたら農民が、また茶の湯やってんのって言うのが面白いかよ!」
無言の竜二を覗き込む虎児。
「まあなるほど、って感じかな。
 その茶の湯に呼ばれた客は、みんな食べたふりして捨ててたんでしょ?
 で、農民の人は、それをしょっちゅう目撃してたんでしょ?」
「!!おめ~すげーな!」
「え!?今のでわかったんですか?」とチビT(桐谷健太)。
「わかんねーよ。なんでわざわざ便所行くんだよ。
 俺はまずい物出されたらまずいって言うからよ。
 そうしないとおめ~、本人の為になんね~じゃん。」
「じゃあさ、これどうですか?」と竜二。
「ダセェ。」と虎児。
竜二、チビTに八つ当たりし、店を出ていく。
「なに、どうした?」と虎児。
「片岡さんのOKが出ないみたい。」リサが答える。
虎児が辛口なのは、本人の為を思ってなんですね。

「いや、スゲー人だと思うんですよ。
 でもあんま自分の意見言わねーっつーか。
 打ち合わせのたんびに知らね~ヤツが入ってきて
 あーだこーだ言うんで。
 毎回『来てるね~!ヤバイね~!』ばっか。
 最初は浮かれてたんですよ。
 結局何も決まんねーし。 
 だんだん訳わかんなくなってきた。
 俺さ、ダセーよ。
 ダセーけどダセーなりにこだわりもってやってる訳よ。
 このまんまだと、自分が納得いかない物作っちゃうような気がする。
 もう、これ(前に虎児にけなされたデザイン)とか全然いいと思う。」
おでん屋で虎児相手に愚痴る竜二。
「俺もわかんなくなってきてんのかなー。
 自分がやりやすいようにやってたら、いつまでたっても
 上手くなんないだろうってさ、
 基本に忠実にやったら、終わったとか言われるし。」と虎児。
「半ちゃんはさ、自分の作ったおでん美味いと思う?」竜二が尋ねる。
「あたりめ~だよ。今日なんか今年で一番いい味出てんだろ!」と半蔵。
「こんなもんっすよね~人間なんて。
 こんなまずいおでん出されても、作ってる人間が自信持ってると
 なんか食っちゃうしね。
 そこのトイレに落ちてる軍手みたいの、ちょうだい。」
「巾着だよ!」
「どん太兄さん見てると俺も考えるんだよな~。」
「アニキがどうかしたの?」
「この前お前言ってたじゃん。アニさん本当は落語好きだって。
 だけど今言ってねーじゃん。
 テレビで顔売って認められて、それから好きな落語やろうと思って。
 俺もまず自分のやり方認められてから古典やるかー、
 それか師匠みてーに誰が何と言おうと頑固に古典やるか、
 はっきりしねーとな。」
「もうちょっとだけ粘ってみますわ。」
虎児の言葉を神妙な面持ちで聞いていた竜二が言う。
「あ!そうだこれ、メグミの携帯。」と虎児。
「いいっすよ。そんな空気じゃないし。」
「いいっすよ。」「いいから。」「いいっすよ。」「いいから。」
結局竜二は貰ったんでしょうか?(笑)

デザインに真剣に取り組む竜二。
青汁で茶道の練習に取り組む虎児。

竜二はサンプルを手に片岡の事務所を訪れる。
「ごめん。明日にしてくれるかな。今俺しかいないし。」片岡にそう言われ
「俺は片岡さんの意見が聞きたい。」
そう言い、サンプルを見せる。
ドラゴンソーダの顔見せ、ということで赤字覚悟の値段設定で挑む。
「よし。これで進めていこう。
 これはこれで来てるよね。ヤバイかもね!」
片岡の言葉に、笑顔になる竜二。

高座に上がる虎児。
「タイガータイガーじれっタイガー!」
「いよっ!」と観客から歓声が上がる。そこを指差しポーズを取る虎児。
「え~。風流なんてもんは、こりゃもう、わからない者にとっては
 迷惑以外の何物でもない訳でして。」

「なんだよ、又『茶の湯』かよ。」と半蔵と辰夫。
「同じく、流行りってーのも、なかなか面倒だ。
 ま、ちょっと前ですと、新しいことを、ナウイ、と言いましたが 
 最近の人は、ヤバい、とか、キテる、なんて言いますね。
 落語がキテる!なんてね。
 キテる落語に来てるお客さんはヤバい連中ってことになりますね。」

観客、大笑い。
「え~。反物屋の竜が、」
「待ってました~!」掛け声をかける辰夫。
「まだ何も言ってねーぞ!笑ってんじゃねーぞ、おい!
 え~~。反物屋の竜に上客が付きまして、
 江戸じゃ有名な興行師。今で言うプロデューサーですね。
 こいつが竜の夕べっていう寄り合いを企画をしまして。
 洋風に言いますと、ドラゴンナイト。
 ただ切符を売ったんじゃ面白くないってんでね、
 手首にこう布を巻きましてね。これを目印にしようと。
 これはもう、竜にとっては千載一遇のチャンス。
 気合を入れて手首の帯をこさえようとしたが、
 いかんせんこの竜の野郎、こっち(お金)の方がゼロ円でございまして。
 しかも父親は、借金まみれの頑固者。
 唯一の頼みが、アニキである、安楽亭ぼん太。」


「オヤジには内緒だぞ。」
分厚い封筒を竜二に差し出すどん太。
「この間危ない所助けてもらったしな。
 たまにはアニキらしいことさせてくれ。」
「アニキこれ・・・」
「芸能人をなめんなよ!」
「足りねーよっ!」封筒に入っていた金は一万円。
「これは、お礼の手紙だから。読んでくれ。」

「しようがねーから、使用人のリサを使いに出したんです。」

「俺の彼女。」銀次郎が父親に紹介する。
「お名前は?」と怖い表情の組長。
「リサです。」ニコっと笑うリサ。
「そう、リサちゃん。
 えらい可愛らしい子見つけたやないか~!」組長もニコニコ顔に。
「おじさまこそ若々しくて素敵ですよ。おいくつですか?」
「54。」
「え~~~!見えなーい。全然見えないですぅ。わっか~い!」
「なんぼ要りまんの?」

「さぁ。金は出来た。絵柄は決まったってんで、工場に発注しまして、
 10日ほどで完成品が届いたんですが、
 なんと、興行主が別の反物屋を使って、
 絵柄を書き換えさせていたんですね。
 納得のいかない竜は、興行主のところへ乗り込んだ。
 (ドンドンドン)だんな~!(ドンドンドン)だんな~!」


「なんなんすか、コレ!意味わかんないっすよ。」
片岡の事務所に乗り込む竜二。
「ごめんごめん。ちょっと直した。」
「ちょっとじゃないっすよ。明らかに別物じゃないっすか。」
「コスト面で折り合いが付かなくてさ。
 なにせ、竜ちゃんとやるの初めてだし。
 で、彼女に手伝ってもらった。」
パソコンに向かい仕事をする一人の女性。
「一言言ってくれても良かったじゃないですか。」
「悪い悪い。今度からはそうするよ。
 でも、逆に良くなったんじゃない?
 うちらの周りでも、すげー評判いいし。
 それにさ、こういうのって、うちらの業界ではよくある話だよ。」

何しろ相手は江戸一番の興行師。
しかも借金も作っちまってるんで、握り締めた拳をぎゅっとこらえて
店に帰った。
ドラゴンナイトが近づくと、閑古鳥が鳴いていた店に客が詰めかけまして
口々に、キテる!ヤバイ!だの言い始めます。


店に手伝いに来ていたチビTは、
「納得いかないのはわかるけど、掴んだ客を離さなきゃいいんだから。」
と慰める。
そこへメグミがやってくる。
「久しぶり~!元気~!?」チビTに挨拶したあと竜二を見て
「え~~っとぉ。」
「竜二だよ!名札つけておいた方がいいかよ!?」
「虎ちゃんは~!?ここで待ち合わせしてんだけど。」
リストバンドを見たメグミはそれを手に取り
「竜二君っぽくないね~。普通っぽいっていうか、特徴ないっていうか~。
 ダサいけどメグはこっちの方が好き。」
と言い、試作品がはめられた竜二の腕を掴む。
「あっ!!だよな~!こんなの全然良くないよな~!ありがとう~!」
竜二、大感激。メグミに抱きつこうとするが、メグミはチビTと話に夢中。

箱に入ったリストバンドとその日の売上金を全て持ち、
竜二片岡の事務所に行く。
「自分の納得いかない商品が店の中にあるの、どうしても嫌なんすよ。」
「何言ってるんだよ。誰のおかげで客入ってると思ってんだよ。」
「いいんすよ。うちはまだ客入んなくても。」
晴れ晴れとした表情で立ち去ろうとする竜二に片岡が
「おい!」と声をかける。
「どっかのダセ~奴とコラボすりぁ~いいじゃん!」
竜二はそう言い、事務所を出ていく。

まぁ、儲け話をドブに捨ててまで、自分のこだわりを貫いたんです。
話はここで終わりなんですが、これを聞いていた馬鹿な男が、
俺もあやかりて~ってんで、


試作品のリストバンドを腕に付け、『ドラゴンナイト』の列に並ぶ虎児。
「あ、お客さん、それダメ。」スタッフに止められ
「あ?なんで?これドラゴンソーダで買ったんだけど。」
「ごめん。あそこでもう売ってないから。」
「何でだよ。これドラゴンナイトじゃねーのかよ!」
虎児の大声を聞きつけ、片岡がやってきた。
「俺のこと覚えてる?」と虎児。
「あーー。竜の店で会ったよね。よろしく言っといて。」
「おい、ちょっと待てよー。一個だけ教えてくれ。
 お前あん時、竜二の作った服見てキテるキテるって言ってたけど
 ありゃ~本当なのかよ。」
「あぁ。言ったかな、そんなこと。
 まあそんあのはノリだからさ。」
片岡の首根っこを掴む虎児。
「おめーらが軽々しく来てるだの終わってるだの言うたんびに
 一喜一憂している奴がいるんだよ。
 なぜだかわかるか?
 必死だからだよ!
 必死にどうにかなれてー。
 格好いいもん作りてー。
 面白いもん作りてー。
 そうやって身体すり減らしてやってるからだよー。
 わかるか?
 自分の言葉に責任持てよー。」
そう言ったあと、彼を離し
「わるかったな。お、最後にいいこと教えてやるぜ。
 今、落語がきてるらしいぞ。」
虎児は片岡に招待券を一枚渡し、帰っていく。
虎児の言葉、カッコよかった!
少し溜めてから、「必死だからだよ!」と言うところで
感動で鳥肌たちましたもん。(笑)


おでん屋。
「俺はアニキみたいになれねーや。 
 だけどオヤジみたいにもなんねー。
 自分の好きなもんだけ作って、それで売れてみせますよ。直球だけで
「俺も。俺も自分が面白いと思う噺で笑いとってやるよ。」
「直球だな~。」竜二が笑う。
「直球かな~。」と虎児。
「直球っすよ。」と竜二。
「直球だよな。」と半蔵。
「おい勝手に混ざってくるんじゃねえ!」

「それから青山じゃ、毎週土曜日、ドラゴンナイトと称して
 酒池肉林の宴が朝方まで催されます。
 近くに、古くからの寺がありまして、寄り合いが終わった若者たちは
 こっちの方が早いってんでね、墓地の横を通るんです。
 日曜日の朝、坊主が掃き掃除をしていますと、

 若者らにより次々と投げ捨てられるリストバンド!
「あーあ。またドラゴンナイトだ。」
「よっ!ちっとも茶の湯じゃねーけど、おもしれ~や~!」
辰夫が声をかける。
客席には、淡島の姿もあった。
そして、慌てて席を立つ男。それは片岡だった。

純喫茶よしこ。
「は~い。抹茶フロートお待たせ~」
「それにしても気になるな~。
 反物屋の竜ちゃん。いよいよお父ちゃん出てきたけどね。
 借金まみれの頑固者の親父って、どう考えても」
「そいつは教えらんねーってんだろうが!
 今月分。」
「はい。確かに。
 あー、淡島君、いい師匠見つけたらしいよ。
 高田亭馬場彦(高田文夫)っていってね、
 別名誉め殺しの馬場彦ってんだけど
 弟子によいしょするんで有名なんだよ。
 まぁ、あーいうのは、厳しく育てても仕方がないからね。
 それからもう一つ、いいニュースがあるんだ。
 あのね、どんつくをいよいよ二つ目にしようと思うんだよ。
 だからついでに、小虎、あんたも上げちゃおうと思って。」
口に銜えたばかりのタバコを吹きだす虎児。
キャッチをミスる師匠。(笑)
「俺が、二つ目?」
「これからが大変だぞ~。がんばれよ~。」いい笑顔の二人!
師匠に握手をしようと思ったら、その掌にはリストバンド。
「師匠。これ間違ってるぞ。」
「そうなんだよ。細くてリストまでいかないんだよ。へへへへへ。」
ドサクサに紛れ金を胸ポケットにしまおうとする師匠。
「今月分。」
「もうちょっと持ってていいかな~と思って。
 なんか情が移っちゃって。」
バン!とテーブルを叩き
「調子こいてんじゃねーぞ!隅田川に沈めるぞ!」
金を両手で持ち、まっすぐと虎児の方に突き出す師匠。
「封筒は?」
「あぁ!忘れちゃった!」
「隅田川行くぞ!」「嫌だ行きたくねー!」「行くぞ!」「行きたくねー!」


※参考にさせていただいたサイト。
茶の湯(東西落語特選さま)

古典落語の『茶の湯』が、若者たちの抱える仕事の悩みと
見事にコラボしていましたね。(笑)
落語の中に登場する偽物のお菓子が、竜二が妥協したリストバンドでした。

仕事をしていて迷うことは、誰にでもあると思います。
妥協して成功への近道を歩むか、
遠回りでも自分の納得出来る方法で歩むか。
自分の仕事に誇りを持てるのが一番。
おでん屋で見せた竜二と虎児の表情は本当に晴れ晴れとしていました。

弟子に自分の演目を取られ、それでも同じ演目で真っ向勝負する師匠。
カッコよかったです。

荒川良々さんの演技にすごく惹かれました。
プロフィールはこちら
いろんな作品に出ていらっしゃるんですね。

カリスマ・デザイナーは結局は、ただのお飾り。
何も一人では決められない、フェイクでした。
彼はあの落語を聞き、これから変わっていくことは出きるのかな~。


ところで、今日はこの記事書くのに1日がかり。(汗)
なんせ、知らない言葉が多く、セリフが聞き取るのが難しい!
おまけに今日は途中、アップした20分位の記事が消えてしまい、
ショック~!
ついでに、レビュー書きながら、別ドラマ『雨と夢のあとに』の録画を
忘れたことに気付き、又々ショック~!!

※検索して調べながら書いていますが、間違いなどがありましたら
お知らせいただけると幸いです。

次週は、『権助提灯』だそうです。また予習しなくっちゃ。(笑)

【追記】
【落語のあらすじ500】さまの権助提灯
リンクさせていただきます。
【うんちく】まであり、これが又面白いです。次週の予習に是非!
『まんじゅうこわい』も読ませていただき、おぉ、なるほど!と
思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

좋다! >_< 이런게 다 있네+_+