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タイガー&ドラゴン 第6話

塚本高史 2007. 11. 20. 23:45

タイガー&ドラゴン 第6話

『明烏』

第6話のオープニング。高座に上がるのは、薬師丸ひろ子!
出囃子は、『セーラー服と機関銃』の主題歌『夢の途中』!


「え~。
 近頃じゃ、30代の女性を、『負け犬』ワン!なんて申しますが、
 男性の場合は、一概には言えません。」


真打ちに昇進したどん吉(春風亭昇太)だが、その生真面目さが仇となって、
女性に縁がなく、40手前で独身。
楽屋で『ハリー・ポッターと秘密の部屋』を読むどん吉。
「お先に失礼します」と挨拶するどんつく(星野源)、どんぶり(深水元基)、
うどん(浅利陽介)らに、小遣いをやるなど気前がいい。

「っとまぁ、30代の独りもんは、金がかかんないから、懐具合もいい。
 これが、所帯持ちになりますと、」


寄席から出てきたどんぶり、うどんに声をかけるどん太( 阿部サダヲ)。
アフロのカツラにサングラス。赤ん坊の人形を抱き、なぜか関西弁で
「子供のミルク代が足りへんね~。なんぼか貸してやってや~。」
と、お金をせびる始末。
二人は仕方なく、どん太に1万円を渡す。
「やっぱりカツアゲは井筒ワールドに限るな。」
上機嫌のどん太の腕を掴む虎児(長瀬智也)。1万円を取り上げ、
「流星会を舐めんなよ!」と頭突きする。

「何とも情けない!
 まぁ若いうちは、女が食わしてあげるって場合もございます。
 先行としてね。
 しかし、これも度が過ぎると、厄介でして。」


ドラゴンソーダ。
メグミ(伊東美咲)が竜二(岡田准一)に、おこめ券を2枚差し出す。
「メグミも、色々と考えたの。
 せっかく仲良くなれた竜二君と、貧乏だからって気まずくなるのも嫌だし、
 かといって、お金を渡したら、竜二君のプライドに傷がつくでしょう?」
「それで・・・おこめ券。」
「あとね~、パスネットにクオカード。偽造じゃないよ。
 ココ一番の食事券と、アンナミラーズのコーヒー一杯無料券、
 魚民のドリンク一杯無料券、あと~、
 ・・・泣いてるの?」
「泣いてないよぉ。」そう言う竜二の目からは涙。

「ようするに、男社会は勝ったり負けたり。
 連戦連勝なんてあり得ないって話でして。
 え?もう時間ですか。
 しょうがないわねー。
 タイガー&ドラゴン!」


谷中家では、師匠と弟子達が集り何やら練習中。
「はい!」「はい、小虎。」師匠・どん兵衛(西田敏行)が虎児を指す。

「え~。すいませーん。電動歯ブラシを下さいー。」
「何に使うんだい?」
「歯を磨くんです。」
「・・・・・」師匠も弟子達も、し~ん。
「おい、早く座布団くれ。」虎児が催促する。
「やるか!バカ!リアルに欲しいもん言ってどうすんだよ、バカ!」
キッとどん太を睨む虎児。どん太、たちまち大人しくなる。
「いいですか、もういっぺん言いますよ。
 私は何でも屋の主でございます。
 欲しい物を何でもおっしゃって下さいな。
 そしたら、何に使うんだい、と聞きますから、
 とんちの利いた答え、下さいよ。」どん兵衛が説明する。

「はい!」どん吉が手をあげる。「はい、どん吉。」と師匠。
「えもんかけ下さい。」
「何に使うんだい?」
「口ばっかりの政治家を、つるし上げるんです。」
「ほ~。」と師匠。
「上手い!上手い!上手すぎて笑えない。」とどん太。
「つーか、えもんかけって何だよ?」と虎児。
「ハンガーだよ!そんなことも知らないの?」と、どんつく。
「おっ、はい!」虎児が又手を挙げる。「はい。」と師匠。
「ハンガー、ハンガー、クリフハンガー!」
「なんだそれ!ルールを把握してから、」
文句を言うどん太を追い回す虎児。

練習の時の小虎の笑顔!!
素に戻った時との強弱が、また面白い!
「ハンガー、ハンガー、クリフハンガー!」で吹き出しましたよ。(笑)
虎児、上手い!!(笑)


寄席の看板に、『OH!喜利喜利ボーイズ』のポスター。
古典だけではやっていけないのだそうだ。
「感心しないね~・・・。
 落語ファンを舐めるんじゃないよーっ!!」そば辰の辰雄は怒り心頭。

高座の上に並ぶ、『OH!喜利喜利ボーイズ』。
「いろんな職業をお題にしてね、あいうえお作文ってのを作ってみよう。」
師匠が説明する。
最初のお題はアナウンサー。
『あ』
「明るいニュースから暗いニュースまで。」緑の着物のどんつく。
『な』
「なるべく、正確に。」水色の着物のどんぶり。
『う』
「嘘、偽りなく。」黄色の着物のうどん。
『ん』
「ん、ん、ん、ん~~~。いい声で。」赤い着物のどん太。
『さ』
「叫びましょーーーっ!」白地の着物のどん吉。
「決まったーっ!せーの、」
「OH!喜利喜~利~!」
5人は立ち上がりポーズを決める。
客らは大喜び。
先ほどはあんなに怒っていた辰夫も、
「しょうがないね~。」と大笑い。

「まぁ、そんなとこでしょうかなー。
 しかし、叫んじゃまずいんじゃないかい?
 もううるさくてテレビなんて見てられないよ。
 まぁ、最初だからこんなところでしょう。
 山崎君、座布団1枚ずつあげてちょうだいな。」

次の瞬間、そこにいた筈のどんつくが、舞台から観客席に転がり落ちている。
そして、その席に座布団を積み上げ、ちゃっかりと座る虎児。
「落語家だけに、落とされたって。
 山崎君、やりたいのかな?」
「はい、ええ。」オレンジ色の着物の虎児が答える。
「まぁ少々不安だけどもね、やって見ましょうかね。
 職業、何がいいかな。
 薬剤師なんてどうでしょうかね。」薬師丸さん意識してか!?
「じゃ、薬剤師の、」
『や』
「や・・・や、や、や、なんだ~!?」
すっごく楽しそうに答えを探す虎児。
「や・・・え?え!?や、やでしょ~!あっ!
 ヤクザ!
 ッシャー!
 あ、ヤミ金でもよかったな~。」自分の回答に大満足な虎児。
会場も高座もし~んと静まり返る。
「・・・
 さ、次いってみましょうかね。」師匠が次へと進行する。

「喜利喜利ボーイズの結成を祝って、すき焼きでも!」
とみんなに声をかけるどん吉。
どん太はそんなどん吉たちに、たまにはこっち方面にでもと、
小指を立ててみせ、風俗店に誘う。
どんつく、どんぶり、そしてうどんまで、大喜び。
どん太はうどんに
「お前はダメだよバカ。
 未成年者は上野動物園に行け。」と言うと、
「上野だったら、うちが経営しているランパブがあるぞ。」と虎児。
「エロエロ探検隊!」どん太たち、大いに盛り上がる。が、
「私、帰ります。」とどん吉。
「あんたが言い出したんだろ、パッと行こうってよ。」と虎児。
「うち帰って、ビデオみないと。返却日なんで。」とどん吉。
「どうせエロビデオだろ?」どん吉に言われ、
「『さびしんぼう』です。」
どん吉はそう言うと、その場から小走りで帰ってしまう。

「忘れてた!あいつ下ネタNGなんだよ。」どん太が言う。
「え~。男の子はとりあえず下ネタでしょう。」と虎児。
「そういえば、女関係の話、聞かないですね。」とどんぶり。
「かなりのマザコンらしい。」どんつくが言う。
両親が離婚してから同居していて、地方の営業には母親がついて
くるらしい。

どん吉の家。
母親と一緒にすき焼きを食べるどん吉。
「この卵、いつもより美味しい!」
「お前に食べさせようと思って、一番いいのを買ってきてやった!」
「そうだ。僕もね、母ちゃんに、買ってきたのがあるの。」
どん吉は母親に買ってきたブラウスを渡す。
「嬉しいけど、派手じゃないかい?」
「そんなことないー。若いからまだ大丈夫~。」
「いい子だね~!」
子供のようにはしゃぐどん吉。
そこへ、近所に住む姉3人が上がりこむ。
立ったまま、すき焼きを食べ始めたり、袋に詰め出す姉達。
メガネを曇らせながら、どん吉は姉達に何も言い返せず。

ランパブ。
虎児たちはどん吉の話題で盛り上がっていた。
(うどんはジュースで盛り上がる)(笑)
どん吉には、どうやら3人の姉が近所に住んでいるらしい。
「綺麗なんすかね。」
どんぶりに利かれてどん太が言う。
「バカ!どん吉の姉さんだよ。年齢的にアウトだよ。
 その3姉妹のせいで、完全な女性不振に陥ったらしいよ。
 前に師匠が仲人して見合いさせようとしたらね、」

谷中家。
「会うだけ会ってみたら。」
小百合(銀粉蝶)と師匠が、部屋に篭るどん吉に声をかける。
「嫌です!お腹痛いです!」
「でも写真見たんだろ?
 お前さんにはもったいないくらいの美人じゃねーか。
 目がパッチリして~。」と師匠。
「写真には写らない醜さがあるんです。
 お尻かいたり、目やにコネたりするんです!」
「目やにコネる?変な子だね~。しょうがないなぁ。
 先方に電話して、こっち来てもらおうか?
 小百合ちゃん、電話してくれ。」
すると、ふすまを破って手を突き出し、ふすまに寄りかかっていた
師匠の首を絞める始末。

ランパブ。
「そんな重症なんだ~。」虎児がタバコを燻らせながら言う。
虎児の両脇には女の子。
他の弟子達もそれぞれ女の子がついているのに、どん太だけ一人ぼっち。
「ドン・ドン・ドン!シャラポワ!」と言ってみても全然受けない。
すねたどん太は次へ行こうと言うが、その時虎児に緊急のメールが入る。

「白石克子(薬師丸ひろ子)、35歳。
 200万位借り入れてる。
 今月振込みがなければうちに債権が回ってくる。 
 カード破産目前ってとこだな。」
日向(宅間孝行)が虎児に電話で説明する。
「つーことは、今月一杯は追い込めねーってことですよね。」
「だが、裏で男が手~引いているかもしれねぇ。
 まぁ、額は少ね~が、今の流星会にとっちゃ大事な資金だ。
 女の身辺、洗ってくれ。」
「親父に代わって下さい。」と虎児。
「何やとコラ!」電話に出た組長(笑福亭鶴瓶)が言う。
「今回の件、銀次郎(塚本高史)一人に任してみてもらえませんか?」
「どういうこっちゃ。」
「あいつも、俺のサポートばっかじゃ面白くないだろうし、
 それに、俺が側にいたんじゃ成長しないと思うんですよ。 
 いずれ自分は組を出ていく人間です。
 でも銀次郎は違う。
 あいつが動けるようになったら、流星会はもっと大きくなるはずです。」
女の子を追いかけ回すどん太の声で、虎児の言葉が消される。
「え?え、なんだ?聞こえない。」と組長。
「流星会を引っ張っていくのは俺じゃない。息子さんです。」
嬉しさで倒れこむ組長。
はずみで銀次郎が使うPCのコンセントを抜いてしまう。
「何するんだよー!」と銀次郎。
「やかましいわ!あほんだら~!」
組長、息子を一喝。そして電話の虎児に向かって 
「ようゆうた虎~!
 お前がそこまで組の事思ってくれてるとは知らなんだ~。
 息子にはついつい甘い顔見してしまうねん~。
 ごめん、」
「わかりました。何かあったら自分がフォローしますんで。」
電話を切ったとたん、上着を脱ぎ捨て、
「追え!追え!挟め挟め!」と女の子たちを取り囲む虎児。
組の為と思いきや、もしかして、遊びたかっただけ!?(笑)

師匠・どん兵衛が高座に上がる。
「え~。一杯のお運びで、ありがたく御礼申し上げます。
 ま、いつの世も、親というものは気苦労が耐えないものでございますな。」


「明烏だね。」と辰夫。
「あ~あ~、明烏ね。」と虎児。
「知ってるの?」
「知ってたら見に来ねーよ。」

「一匹はもう、うちを出てったきり、帰ってこないですな。
 電信柱に写真など貼ったりして探しているんですが。
 もしお客様の家で、見つけられたらご一報下さい。」

観客、笑い出す。
「しょうがないね~。」辰夫と虎児が声を揃える。

人だかりを見つけて竜二が走る。
「何のロケ?」人の輪の中心にいたチビT(桐谷健太)に聞く竜二。
「見ないほうがいいかも。」
輪の中心では、どん太がパーマン2号の衣装で逆ナンのレポートをしていた。
「逆ナンパーマン!
 え~。ロケが始まって3時間。いっこうにモテません。
 原宿は逆ナンの聖地だって聞いたんですが~。
 逆ナンパーマン!逆ナンパーマン!」
人に寄ると避けられるどん太。

「道楽が過ぎますと、親としちゃ、これは心配。
 これは道理でございますなぁ。 
 しかし逆に、真面目すぎるってーのもまた、心配なんでございますなぁ。」

「おとっつあん。只今帰りました。」
「おう、お帰り。どうだった、お稲荷さんは。」
「はい。初午でございましたので、たいそうな賑わいでございました。」
「そうかい。そりゃあよかった。」

「そのあと、お稲荷さまに参詣に参りましたら、
 若旦那、お赤飯を召し上がれ、と声をかけられまして。
 まぁ、煮しめの味が、大変に結婚でございましたので、
 三膳、頂戴いたしました。」と若旦那(どん吉)。
「まぁ、呆れましたよ。あなたは地主の息子ですよ。
 その息子が、たなごの稲荷祭りでお代わりだなんて。」
と母(師匠)。
「自分の年を考えなさいよ。
 商人ってーのは世の中の表面ばかりを見てたってしょうがない。
 遊びの一つでもしてだねぇ、この世の裏ってものを知らないと
 ダメなんだ。
 どっか気晴らしにでも行っておいで。」と旦那(半蔵)(半海一晃)。
「浅草の観音様の裏の方角に、大層流行るお稲荷さまがあるそうです。」
「観音様の裏?」夫婦は顔を見合わせる。
「お参りに行ってもよろしいですか?」と若旦那。
「お前それ、どっから聞いてきたんだ?」
「源兵衛さんと太助さんです。」
その時、源兵衛と太助(竜二とどん太)が家にやってくる。
旦那は二人と目を合わせ、ニヤリと笑う。
「行っといで、行っといで。なんなら、泊まりで行ってきなさい。」


ロケが終わったどん太は竜二にある相談事をする。
「合コン?」竜二が聞き返す。
「あぁ。毎月31日は寄席が休みだろ。
 そこで、合コンでも催して、どん吉の恋人探しをね。」
「あの人40過ぎてるんだろ。」
「お前と俺のダブル竜で、絶妙なトークと仕切りでよ。」
「自分も居酒屋トークは弾けてる方なんで。」とチビTも張り切りだす。
「問題は、どん吉をどうやって誘うかだ。
 合コンって言ったら、あいつ絶対来ないからね。」

「遅くなりました。」若旦那が源兵衛と太助の元に走ってくる。
「なりが悪いと、ご利益が薄いと、父上が申すものですから、
 着替えて参りました。」
「お賽銭は、持って参りましたか?」
「ええ。沢山持って参りました。」
「それじゃ、早速、一杯やりましょう。」
「結構でございます。私は飲めませんので。」
「勘定のことなら、心配ねーよ。あとで割り前を。」
「とんでもない。父上が申すには、あなた方は町内の札付きでございます。
 割り前なんぞ戴いたら、あとが怖い。」
「へっへっへっへ~。聞いたかい!」「札付きだって~!?」

「程よいところで切り上げて、飲み屋を出ますと、土手は酔いのうち。
 ひときわの雑踏でございます。」
 
「大層な人出でございます。
 もう皆様、お稲荷さまへ、お籠もりの方でございますか。」
「いや、そうとも限らないんでございますけどもね。
 お参りだけで帰っちまうなんて人もいるんですがね。」
「それにしても、鳥居がございませぬ。」
「そうなんですよ、若旦那。いいとこに気づきましたね。
 ここはね、鳥居はないんですよ。
 その代わり、大門というのがあるんです。ほら、あそこ。」


「大門って何だよ。」と虎児。
「吉原の入り口よ~。」と半蔵。
「あ~なるほどね。そういうことか。」
「今わかったのかい?呆れたねー。」と辰夫。

「地方で営業が入ったって騙して連れ出す。
 熱海とか、湯河原とかのホテルへ行って、
 そこで初めて合コンってバラすのは、どう?どう?」
「そりゃ、帰りたくても帰れね~わな。」
「イッシッシッシ」と声をそろえて笑う竜二とどん太。

「源兵衛さんと太助さん!ここは吉原じゃないですか!」
「そうだよ。」
「そうだよって。
 お稲荷様にお参りに行くっていくからついて来たのに。
 あんまりだ~!」
「ヘッヘッヘ。何も泣く事はねーじゃないですか。
 大丈夫。おとっつあんも心得て送り出したんだ。」
「父上は特別です。親類はみんな固いんです。私はお暇します。」
「まぁまぁまぁ。これから女の子が来て陽気に騒いでね。」
「そんなに帰りて~んなら帰りゃいいじゃね~か。
 けれども若旦那。あんた吉原の門をご存知ないよ~だな。」
「え?」
「入って来るときに大門があったでしょう。
 あそこには、怖い怖い番人がいてね。
 出入りの物をいちいち帳面つけているんだ。
 お前さん、一人で帰ってごらん。
 3人連れなのに一人で帰るって~のは怪しいってんでお前さん!
 ふん縛られるよ。」(竜二)

「待てコラーッそこのメガネーっ!」
怖い番人(虎児)に怒鳴られる所を想像する若旦那。

「本当ですか?」と恐れる若旦那。
「それは初耳だ。(どん太、竜二に睨まれ)
 ・・・あぁぁ!ホントのホントよー。 
 この間なんか、元禄時代から縛られたまんまのヤツがいましたよ。」
「いやだ。いやだ~。いやだやだやだ~。」
「エッヘッヘッヘッヘ~」いやらしい笑いをする源兵衛と太助。


ドラゴンソーダ。
「エッヘッヘッヘッヘ~」肩を組み笑う、竜二とどん太。そしてチビT。
「何笑ってるの、気持ち悪い。」リサ(蒼井優)に言われ
「入ってくんじゃねーよ、ブス!」と竜二。
「お嬢さん、31日空いてる?」どん太が聞く。
「勘弁してくれよ。何が悲しくて自分んとこのバイトと
 合コンしなきゃなんね~んだよ。」
「え~!店長合コンするんですか~!?」
「入ってくんなって言ってんだろう、ブス!
 テメ~今度入ってきたら、時給300円にする、」
リサの足蹴りが跳ぶ。
「その件、自分に任せてもらえませんかね。
 すぐに呼べる女子大生から、欲求不満の人妻まで、」
「バスガイドは!?」竜二が叫ぶ。

「あら。こちらが堅物の若旦那?」花魁(メグミ)が言う。
「そうなんだよ。メソメソ泣いちゃってさ。」
「これじゃ~まるで、お通夜だ。ヘヘヘ。」

「可愛い。」花魁の言葉に驚く源兵衛と太助。
「若旦那。こちらのお二人は意地悪ですから、
 ここにいたらいつまでもいじめられますよ。 
 さ、一緒に、花魁の部屋へ行きましょう。ね。」
首を横に振る若旦那。


「ダメ!絶対にダメ!却下!」と竜二。
「もしもし、メグミちゃん?」勝手に電話をするどん太。
「電話してんじゃねーよ。」竜二が怒る。
「合コン!?や~だ~!楽しそう!」メグミは嬉しそう。
「すっごい楽しいよ~!お友達誘ってみてよ。1泊2日の旅行だけど。」
竜二が受話器に耳をくっつけ様子を伺う。
「全然OK!どんな子がいいかなぁ。」
「可愛い子がいいな~。」
「み~んな可愛いよ。バスガイドだもん。」
「本当に~?女の可愛いは信用出来ないからな~。」
「マージでいいの!?
 あ、竜二です。
 温泉だよ?一泊だよ?泊まるってことは・・・泊まるってことだよ・・・。」
「ヤ~ダ竜二くーん。いやらし~~い!」
メグミの言葉に固まる竜二。どん太が受話器を奪い返す。
「じゃ、早速当たってみて。
 人数?そうだな~。5人かな、メグミちゃん入れて。
 よろしく~!」
「アニキ。」
「どうした、弟。」
「俺・・・アニキの弟でよかった。」
兄弟、熱い抱擁を交わす。
「ところでメンツ、どうするよ。勢いで5人って言っちゃったぞ。」
「ちょっとその前に・・・走ってきていいかな。」
「いいよ。」兄が弟の肩をポンと叩く。
竜二、街を全速力で走り、
「メグミちゃんと~、一泊旅行ー!!」と叫ぶ!

「5人だろ。俺とアニキと、どん吉兄さん。」
「うどんは入れた方がいい。和み系で。」
「誰かいない?」竜二がチビTに聞く。
「だから~、さっきからアピールしてんじゃん。
 俺だよ俺!チビTこと、竹島君!」
「お前、大喜利出来んのかよ。」どん太が聞く。
「大喜利?」
「あいうえお作文は出来ますかって聞いてんだよ。」
「悪いなチビ。今回は遊びじゃねーんだ。」と竜二。
「っとなると、うちの若手か。どんぶりかどんつくか、」
「小虎さんは?」とチビT。
竜二、チビTの頭を鷲掴み、投げ飛ばし、
「あり得ねーー!!」と叫ぶ。二人は虎児を連れて行くことに大反対。
「冗談じゃないよ。あんなバカ男、誰が連れていくかってーの。」とどん太。
「メグミちゃんどころか、地引網みたいに根こそぎ持っていかれる。」と
竜二。
「しかもあのバカ、大喜利出来ねーしな。
 ・・・あれ・・・なんか背中が痛い。
 ・・・振り返れない。」
「なんか面白そうな話してんじゃーん。」虎児、登場!
「お、お前、師匠の高座は?」
「抜けてきたんだよ。虫の知らせっていうやつかな。
 え、で、何?大喜利やんの?いつ?いつ?いつ?」
竜二とどん太に肩を回し、嬉しそうに聞く虎児。
「31日。」竜二が答える。
「お、空いてるよ。寄席、休みだし。」
「でも、地方のつまんない営業だから、小虎が行かなくても、」とどん太。
その時竜二の携帯が鳴る。
「あ!その日ダメだわ。行けない!」t
虎児の言葉にほっとする二人。
「メグミからメールで、温泉で合コンやるんだって。」
二人の顔からサッと笑みがひく。

中谷家。
銀次郎はリサと二人でPCを使い、白石克子の事を調べていた。
そこへ組長たちがやってくる。銀次郎はわかったことを報告する。
「昼間はデパ地下の甘納豆屋で働いていますね。
 月給が手取り20万。杉並の1ルームで一人暮らし。
 男関係はとくにないみたいですね。
 ただ、浪費癖があるようで。な。」銀次郎がリサにふる。
「これ、彼女がやっているブログです。
 インターネットで日記公開してんの。
 『どーしよー、督促状が来ちゃったよ。
  今月苦しいんだょねー。
  なのにまたバッグ注文しちゃった。イヒ。』」
「こいつ~、自分の状況わかってねーな。」と日向。
「『もう親には借りれないし、』」
「実家は名古屋の味噌カツ屋です。」と銀二郎。
「『あー、味噌カツ食べたいー。』」
「まぁ、そんな感じです。
 ・・・親父さん?」
「わからへん。」組長が首を振る。

谷中家。
『OH!喜利喜利ボーイズの温泉寄席』と書かれたポスターを
師匠たちに見せるどん太。
「この日休みじゃねーか。みんなで行こう!」
「温泉なんて何年ぶりかしら。」と小百合。
鶴子(猫背椿)も手を叩いて喜ぶ。
「ちょっと待って下さい!みんなは困るんです。」とどん太。
「なんでだよ。だって林屋亭オールスターズがやって来るって
 書いてあるじゃん。」
「先方の指定は、私と、どん吉と、うどんと、小虎の4人なんです。」
「えー!僕らは入っていないんですか?」とどんつく&どんぶり。
「ごめん。選抜メンバーだから。」
「じゃ、代わりに行っていいよ。私、お墓参りだから。」
どん吉の言葉に慌てるどん太。
「お前ダメだダメ。お前は来なきゃダメ!」
「おかしいですよね。大喜利ったら5人でしょう?」
「あと一人はな、な、な。」どん太、虎児に救いを求める。
「な、あの、あれだよ。素人!」
「そうそう!素人さんを交えて、和気藹々、な。」
「おかしい!なんか打ち合わせの匂いがぷんっぷんする。
 ね~、サヤ。」
母の問いかけに娘も頷く。
「打ち合わせなんかしたことない!」とどん太。
「どうせコンパニオンでも呼んで宴会でもするんでしょう。」
「だったら私は行きませんよー。」とどん吉。
「竜平!だったら私は断固として行きた、いんだけども。」と師匠。
家族達の揉め事を虎児に押し付け、どん太はどん吉を引っ張り出す。

どん吉を外に引っ張り出したどん太。竜二もそこで待っていた。
「てめ~、墓参りと落語とどっちが大事なんだよ。」とどん太。
「そりゃ~、落語ですよ。」
「だったらお願いしますよ。
 師匠がいないと、あいうえお作文が出来ないっすよ。」と竜二。
「し、師匠~!?」
「師匠だ~よ。
 全国の落語通が師匠の落語を聞きにくるだ~よ。」
「落語マニアが集って、あいうえお作文で対決するだ~よ。
 そんでお互いをたたえ合って、温泉浸かって、
 新鮮な魚と美味い酒で、日頃の疲れを男同士で癒すだ~よ。」
「ほんとに男!?」とどん吉。
「当たり前だ。」
「じゃ~行く!」

その頃、谷中家では虎児がみんなに説明する。
「へ~~~~。」「なるほどなぁ。そういうことか。」
嬉しさのあまり、虎児の胸に頭を寄せる。
そこへどん太が戻ってくる。
「事情は聞いたよ。
 お前達が、それほどまでにどん吉のことを心配してくれるってーのは、
 本当に嬉しいや。
 確かにね、あいつはちょっと堅物すぎる。少し遊んだ方がいいんだよ。」
師匠の言葉に
「でしょ?遊んだ方がいいんですよね。」とどん太。
「かくいう私も遊んだ方がいいってこと。」と師匠。
「そうそうそうそう。・・・え!?」
「頼むから竜平!俺も連れてけ。邪魔せんけんな~。」
「これは、どん吉救済の合コンツアーね。」どん太が言う。
「合コン!?」
「バーカ。まだそこまで説明してねーんだよ。」と虎児。
「何それ!信じらんない!」鶴子、激怒。
「サヨちゃんが泣いてる!ママ!サヨちゃんが泣いてる!」
二人の娘・サヨが大泣き。
「あんたのせいでしょう!!」鶴子の怒りは収まらなかった。

合コン当日。
「いや~!雨降んなくてよかったっすね~。」と竜二。
「天気なんて関係ねーよ。海水浴じゃねーんだから。」と虎児。
そこへどん吉、和服で登場。
「遅くなりましたー。
 大島紬。大事な舞台だからって母さんが着てけって。」
大きなカバンの中には、道中お腹が空くだろうと、キンピラと、煮物と、
お稲荷さんなどが入っているらしい。
「捨てちまえよ、そんなものー!」
そう叫ぶどん太を押さえる小虎。
「あとは小寅さんだけ。」その時、竜二の携帯が鳴る。
「悪い、今日行けなくなった。
 今銀次郎から電話があってさ、追い込みかけようとしてた女が
 荷物まとめて逃げたって。」と虎児。
「そうっすか。」嬉しさを隠せない竜二。
「一応代わりのやつが、もうすぐそこに付くはずだから。」と虎児。
「代わりのヤツ!?」
辺りを見回すと、そこには虎児のコスプレをした淡島(荒川良々)が。
「どうかな?ギリギリバレないと思うんだけど。」
「はっ!?」

「ちゃ~んと見張っておけってゆうたやろ。ボケが。」と組長。
「でも、昨日の深夜まではちゃんといたんです。」と銀次郎。
「小虎!己はワシに偉そうに意見するからこんなことになるんじゃ。」
「すいません。」
「この際だから言っておくけど、フェードアウト出来ると思うなよ。
 谷中の借金がゼロになるまで、お前はうちの構成員なんだよ。」と日向。
「何しおらしくなっとる。
 探せ探せ!!24時間以内にその女を捜せ!」

携帯の番号も実家の番号おわからず、途方に暮れる竜二とどん太。
「お前さ!それじゃ何も調べてないのと一緒じゃねーかよ。」
「すいません。」涙ぐんで謝る銀次郎。
「お前のせいじゃねーよ。」
「いや、情けねえっす。せっかくアニキが譲ってくれたのに。」
「泣いたって始まらね~だろうがよ!
 ブラックリストに載ってるかどうか、調べるぞ。」

「ついたーっ!!」車から降りる竜二に、
「竜二君~~~!!」メグミが手を大きく振り挨拶する。
「何でメグミさんがいるの?」とどん吉。
「ガイドだよ。」
5人はメグミの元へ駆け寄る。
「あれ?お友達は?」竜二が聞く。
「もうホテル入ってるよ。ただ・・・」
「ブス?ブスなの?」とどん太。
「ううん。3人とも可愛いよ。」
「3人?」と竜二。
「そうなの。一番可愛い子が、低血圧で起きれなくて。」
「オイオイオイ。5対4じゃバランス悪いよ。」
「お前帰れよ。子供なんだから!」淡島がうどんに言う。
「何の話してるんですか?」とどん吉。

「すいませーん。」竜二はその場に居合わせた女性に声をかけてみる。
「誰でもいいのかよ。」とどん太。
「すいませーん。」
「はい?」女性が振り返る。
その女性こそ、虎児が血まなこになって探している相手・克子だった。
「僕達と、合コンしませんかー!?」

「合コン!?」どん吉が驚く。
「そうだよ。」竜二やどん太が「ヒヒヒヒヒ。」と笑う。

高座に上がる虎児。出囃子は
「え~、いっぱいのお運び、ありがとうございます。
 タイガー、タイガー、ありがタイガー。」
客か笑いが起きる。
「お~っ!パターン変えたね。」と半蔵。
「親といっても、生みの親ばかりが、親じゃない。
 ヤクザの親分も、噺家にとっちゃ師匠も、親でございます。
 弟子の素行が悪ければ、心配する。これは、当たり前。
 しかし真面目過ぎても、これはこれで心配でして。


「おっ。明烏だね。」と辰夫。
「今頃気付いたのかよ!」辰夫、ゴメンのポーズ。

「え~。江戸と申しました時代、どん吉、いや、ぽん吉という噺家が
 おりまして。」


「どん吉でいいよ~!」会場から笑い。
どん吉、舞台の袖で泣きそうな顔をして見守る。

「そのどん吉という男、固い固い。
 凍った冷凍ピッザみたいな男でして。
 まぁ、凍ってるから冷凍ピッザなんですけどね。

 まぁとにかく、もっと遊べって~んでね。」


旅館の宴会場。
『歓迎 OH!喜利喜利ボーイズ&ガールズ御一行様』の横断幕の下
盛り上がる男女10名。

「噺家のポンタと、反物屋の竜。札付きの兄弟が策を練りましてね。」

どん吉以外の男達は、女の子の可愛さに大喜び。
「自己紹介しまーす。
 メグミで~す。よろしくー。」
「アサミで~す。好きなタイプは、面白い人!」
4人、一斉に一発芸。
「マリアです。甘えん坊なので叱ってくれる人が好きです。」
4人、一斉に怒鳴りだす。
「アスカで~す。筋肉が、大好物です。」
4人、一斉に筋肉自慢。
「白石、、、です。」
「・・・え?聞こえない。」
「白石・・・克子です。
 本当に私でいいんでしょうか。」

「この克子って女、実は多額の借金を掲げまして、
 実はヤクザが血眼で探している、お尋ね者なんです。」

克子を探す虎児と銀次郎。
「限度額ギリギリまで借りてやがる。」と虎児。
「携帯も変わってますね。」と銀次郎。
「確信犯だな。」
「すみません・・・。」
「泣くなって言ってんだろうがよっ!」
「はい。」

旅館の宴会場。
「ねーねーねー。足、崩してもいいかなぁ。
 私達会社に、正座しちゃダメって言われてるの。」とメグミ。
バスガイドたちの足にウットリな男4人。
克子も足を崩そうとすると
「あんたはいいんじゃね~?」と竜二。

続いて、今度は男達の自己紹介。
「今回幹事を務めます、林家亭どん太こと、谷中竜平でーす。」
「竜二でーす。二人合わせて、」
「ダブル竜でーす。」

「超ウケるー!!」女の子達、大喜び。
「おいおいおい。ハードル低いぞ。
 続け!淡島。」

「チャンラ~♪
 ジャンプ亭ジャンプです。特技は、垂直・ジャンプ!」
女の子達、これにも大喜び。
「芸風、変わってないか?」とどん太。
「変わってない。
 小話を一つ。
 『おーい。』
 『どうしたんですか?お前さん。』
 『どうしたもこうしたも、ねーよ。』
 (女の子の笑い声に)
 まだ笑う所じゃね~よ。」と淡島。
「だって、首をこ~やって振るだけで、男になったり女になったり
 するんだもん。」
「そこかよ!」と竜二。
「ごめんね。みんな落語見るの初めてなの。」
「うん。全然OK!」と淡島。

「う・・どんです。」
「か~わいい~~!!」と女の子たち。
「名前しか言ってね~のに!」と竜二。
「ねーねー、何うどん?」女の子に聞かれ、
「はい?」
「答えなさい!」とどん太。
「や・・・ヤキうどんです。」
「しぶ~~~い!」女の子達、大喜び。

「さぁさぁさぁさぁ。
 男性チームのトリを勤めますのは・・・」
どん吉の席を見ると、彼がいない。

「ちょっと待ってよ。どん吉っちゃん。」
「冗談じゃない!あんた達を信じた私がバカでした。
 まだ電車で帰れますから、どうぞお構いなく。」
「もうちょっといてよ。
 あんたがいなきゃ、あいうえお作文も出来ないでしょ。」
「あんな低レベルの人たちに笑われても、芸が荒れるだけです。」
「じゃあ帰れば。帰ればいいじゃん。そんな嫌だったら。
 こっちだってそんな辛気臭い顔していてもらっても楽しくねーし。」
「おい竜二!」

「だけどな、あんた一人で帰ったら師匠はどう思うかね。」
「師匠が?」
「ああ。あの人はああ見えても怖い人だよ。
 ことによってはふん縛られるだろうね。」


「そんなバカな。」とどん吉。
「地方の営業って嘘ついて合コンやってんだよ。 
 俺やアニキはともかく、うどんは未成年者だ。
 間違いなく破門だね。」
「私のせいじゃないもの。」
「誰のせいとかじゃねーよ。
 協会の理事の耳に入ったらどうする。」
「あ~、破門だ破門。除名。廃業。」
「しかも独身!負け犬だ。」

宴会場に戻った3人。みんなであいうえお作文をやり始める。
「はい、バスガイドの『ば』!」
「バラの花より美しく。」とどん吉。
『す』
「スミレの花より可憐です。」と竜二。
『が』
「ガンダムみたいに守ってあげたい。」と淡島。
『イ』
「色っぽい、お姉さん。」とうどん。
『ド』
「どうでもいいや。」とどん吉。
「せーの!」龍太が掛け声をかける。
『オー!ギリギーリー!!』
どん吉もつい、キメポーズを作ってしまう。

「まぁ、そんなこんなで夜が更けまして、一人、また一人と
 相方を見つけて部屋を出ていきます。
 俗に言う、消える、っていうやつですね。」


うどんとはアスカ卓球で盛り上がる。

淡島とマリアはバーで酒を飲む。
「それは、君が、間違っているよ。君がよくないね。
 君は、自分自身の魅力に、気がついていないんじゃないかな。」

どん太はアサミにギャグを披露。

竜二はメグミと温泉へ。
混浴と知り「やっべ~」と竜二。
「知ってたんでしょう?」とメグミに言われ、
「はーい!バリバリ知ってました~!」と答える。

宴会場に残ったどん吉と克子。
「あの、」
「はい。」
「気~使わなくて結構ですよ。私は私で時間潰してるだけですから。」
ハリーポッターを読むどん吉がPCをする克子に言う。
「そんなことないです。楽しいです、すごい。」
「え?」
「退屈・・・ですか?」
「いやいや。」
「よかった。」克子が笑う。
「どん吉さん、甘~い物、好き?」
「え?」
「甘納豆屋さんで働いているのー。
 これ、よかったら。」
「名前・・・よくわかりましたね。自己紹介してないのに。」
「ほーんとだ。」克子が又笑う。
「あ!よかったらこれ。母が作ったの。」どん吉が勧める。
「おいしそう!」
「いただきます。」甘納豆を食べるどん吉。
「おいしい?」
「おいしいー!」
「好き。私、それ。」

そば辰。
「まぁ飲めや。」虎児が銀次郎に酒を勧める。
「いや、いいです。」
「しょうがねーじゃねーかよ、見つからないもんは。
 親父にはもう連絡しといたからよ。」
「は~。俺も早くアニキみたいになりたいっすよ。」
「今日は慕われてるね、虎ちゃんよ。」と辰夫。 
「親父に反発する訳じゃないけど、
 俺は俺のスタイルで決めてーっつーか。
 でもあれなんすかね、寝込みを襲って、 
 東京湾に沈めんぞ!
 みたいのが手っ取り早いんすかね。」
「うちの師匠がさ、俺に言うんだよ。
 お前はお前の古典落語をやればいいってよ。
 最初は意味わかんないっつーか、それこそ反発して、覚えたとおりの
 古典落語やってたら、全然ウケなくて。
 まぁ要するに、ガラにもねーことするなってー意味だったんだよな。
 今それがすごくよくわかる。
 スタイルなんてどうだっていいんじゃねーの?
 古典だってよ、初めてやったヤツは、それが古典になるだなんて
 思ってやってなかっただろうし。
 それに、東京湾に沈めんぞーって初めて言ったヤクザだって、
 そのあとみんなが東京湾、東京湾って言うとは思わなかっただろうしよ。
 あれ?俺何の話してたんだっけ。」
「俺は俺の道を行けっていう、」
「おぉそうだそうだ。だからよ、俺みたいになりてーなんて言うな。
 俺はもういいんだからよ。」
「・・・わかりました。」
「おぅ。ごめんね、話下手で。
 おぅ辰ちゃん!この間の師匠の話のオチどうなってんだよ?
 俺途中抜けちゃったから最後まで聞いてねーんだよ。」
「師匠に聞きなよ。わたしゃ素人だから。」
「ざーっとでいいんだよ。あらすじだけでも教えてくれよ。」
「え~。だから、嫌がってた若旦那が花魁に見初められて、」

すると店内にいた師匠が続きを話し出す。
「若旦那。こっちへいらっしゃいましな。世話を焼かせないで。」
「そんなに引っ張らないで下さいな。」

「抵抗するんでござますわな。
 そこは『餅は餅屋』でございまして。
 なだめすかして、若旦那を花魁の部屋に押し込んでしまいました。」

「師匠!」
「連中はあれだろ?温泉でしっぽりやっているんだろう?
 悔しくて寝つけやしないよ。」
「いるんだったらいるって言ってみろよ。」
「小虎。お前の言うとおりだ。
 坊ちゃん。小虎の言うとおりだよ。
 あんたはあんたなりの、ヤクザになればいい。
 その代わりな、ヨア・ファーザー、ファーザーな。ダディー、父ちゃん。
 泣かすようなことが合っちゃダメ。
 人から愛される、立派な取立てやに鳴りなさい。」
「はい。」笑顔で頷く銀次郎。
「しかし皮肉なもんな~。 
 実の倅より、弟子の方が物分りがいいってんだから。
 ホントに親の心子知らずってのは、このこったい。」

混浴に浸かるメグミと竜二。
「楽しかった~!
 こんなに笑ったの、久しぶりだな。」
「俺も。あんなにウケたの久しぶり。」
「ほらガイドって、基本笑顔でしょ。
 とりあえず笑ってたらいいって思ってたけど、
 今日は本当に楽しかった。
 面白い人好きになるの、メグミ、初めて。
 竜二君。これからもいっぱい面白い事して、
 メグのこと楽しませてね。」
「メグミちゃん・・・!」
メグミの隣まで泳いでいく竜二。
「お揃い。」とタトゥーを見せるように言う。
「ほんとだ。付き合ってるみたいだね。」
「アハハ。」
「・・・付き合っちゃう?」
「え・・・?またまた。」
「やだ。本気だったんだけど・・・。」
「いやいやいや。そんな訳ない。
 こんなにスムーズにことが運ぶなんて絶対おかしい。
 絶対何かオチがあるはず。」
「竜二君。メグミ付き合うと、ちょっとめんどくさいけど・・・
 平気?」
「考えていい?平気。俺もめんどくさいから。」
二人の唇が合わさろうとしたその瞬間、笑い声が聞こえてくる。
どん吉、淡島、うどんだ。
「構うもんか。」
竜二、みんなの見ている前でメグミにキス!

「若旦那、いかがですか。お籠もりの具合は。」
「大変に結構なお籠もりで。」
「聞いたかい?え?夕べあんなに嫌がっていたのによ。」
「若旦那。お起きなさいまし。」
「ほら若旦那、花魁もそう言ってるでしょう?
 あなた早く起きたらどうなんですか。」
「花魁は、口でばかり起きろ起きろとおっしゃいます。
 布団の中では、私の手を、にゅーっと。」
「冗談じゃねーや。俺、帰るからね。」
「おいおい、待て。あーあ、あの野郎、階段から落っこちた!」
どん吉の噺を、たった一人の観客・克子が楽しそうに聞いていた。

「わかりましたよ、若旦那。
 あんたは暇な体だ。ゆっくり遊んでらっしゃいな。
 私らは一足先に帰りますよ。」
「帰れるものなら帰ってみなさいな。
 私がいなけりゃ、大門で、ふん縛られる。」
師匠の『明烏』に大拍手の辰夫。
虎児は居眠りをしている。師匠、ムッとして舌なめずり。
PCをチェックしていた銀次郎は、克子のブログが更新していることに
気付く。

『今日は伊豆に来ています。なんと、合コンです。』

「えーーーっ!!」
虎児の眠気が一気に覚める。虎児たちは急いで伊豆に向かう。

『相手は、噺家さんです。
 みんな外に出ていっちゃって、今、林家亭どん吉さんと
 二人きりなんです。 
 優しそうな人だけど、どうしよう。気まずいよ。』

朝方、部屋に乗り込む虎児と銀次郎。
部屋には男4人だけ。
「全然ダメだよ。惨敗だよー。
 こいつは、メグミちゃんとチューしたけどね。」とどん太。
「すいません。しちゃいましたー!」と竜二。
「・・・よかったじゃねーか。 
 んなもんどーだっていいんだよ。どん吉どこに行った!?」と虎児。

「男6人でどん吉の部屋へ行きます。
 大一座、振られた奴が起こし番
 という川柳もありますように、他人の部屋をガラガラ開けて
 変な事言ってるのに、あまりモテた客はいないようでございます。」


どん吉の部屋をノックする6人。
虎児がドアを蹴破る。歓声を上げる5人。
ふすまを開けるとそこには・・・
「ぶっほ!」
一つ布団の上、どん吉と克子が飛び起きる。

「やっと見つけたぞ!」と銀次郎。
「兄さん、この女とやっちまったんか?」虎児が聞く。
「え?」
「どうなんだい?正直おっしゃい。」
「そんなこと、恥ずかしくて言えませんよ。」
一斉に冷やかしだす6人。
「なんだい!あっしはね、あんた達みたいに浮ついた気持ちじゃないぞ。
 こっちはちゃんと、所帯持つんだい。
 本気だよ。もう噺家辞めてね、彼女の実家の跡取りになるの。
 味噌カツ屋の、亭主になるんだい!」
「本気で言ってんのかよ。」と虎児。
「本気だよ。こちとらふわとの四十だい。切羽つまってるんだ!」
「おい銀次郎。」
「はい。
 じゃーこれ、旦那さんに払ってもらいましょうか。」
「え?」
「この女の作った借金の債権が、今日付けでうちの組に来ちゃったんだよ。」
請求金額、2050,000円。
「そ、そうなの?」
克子は何も答える事が出来ない。
「返しますよ。返しゃいいんでしょ!」全員その言葉にどよめき拍手。
「そんな。自分で返します。」と克子。
「お前は、黙ってなさい。」
どん吉の胸に寄り添う克子。

「さて、どん吉さんが味噌カツ屋の亭主におさまった所で、
 私ら寄席がありますので、東京帰りまーす。」
「あんたたち!帰れるものなら帰ってみなさいよ。」

「私がいなきゃねー、あいうえお作文が出来ませんよ。」
「よっ!今日も最高だよ!さすがヤクザ!」
辰夫に声をかけられ睨み返す虎児。
観客席から克子も笑顔で拍手を送る。

高座に『OH!喜利喜利ボーイズ』登場。
「どん吉さ~ん!」克子の声に幸せそうに答えるどん吉。

純喫茶よしこ。
よしこがレモネードを客に運ぶ。
「まぁ小虎、ねぇ。寝てたわりには、最後ちゃんと上手くいったし、
 大したもんだよ。」
「いやいやいや。まだまだっすよ。」
「まぁ、こいつもね、お蔭で腹くくったみたいだからね。」
「今月末、家族に紹介することになりました。」とどん吉。
「結構早いっすね。」と銀次郎。
「切羽詰まってますから。」とどん吉。
「ま、そういうことで、な。例のもの。」と師匠。
「じゃ、今月分の授業料。」虎児が金を渡す。
「はい。」師匠がそれを受け取る。
「お前も出せ、早く。」虎児が銀次郎に言う。
銀次郎がどん吉に金を渡す。
その瞬間、立場逆転。テーブルに足をドンと置く虎児と銀次郎。
師匠とどん吉は、お金を封筒に入れ、
「はい、今月分の。」師匠が虎児に、どん吉が銀次郎に渡す。
「もっとまともな封筒用意しろ。」
虎児はそう言い、またテーブルを蹴る。
「おかしくねー!?これおかしくねーっすか、アニキ。!?
 俺、落語教わってねーし。」
「うるせーな。授業料だよ。」と虎児。
「授業料だよ。」と師匠。
「授業料だよ。」とどん吉。
「はーーーあ!?」と銀次郎。
「はーーーって。はーーーって。」と師匠。
虎児はいつものように舌なめずりをした。


『明烏』というお話は知らなかったのですが、
若旦那=どん吉
源兵衛と太助=竜二とどん太
吉原=合コン
門番=師匠
またまた見事に古典と現代が繋がっていました。

どん吉兄さん、最後男らしかったですね。
それにしても、ま~さか、オープニングから登場した薬師丸ひろ子さんが
演じる女性と一緒になるとは!
どん吉兄さん、噺家を辞めるとタンカ切っちゃいましたが、
本当に味噌カツ屋の亭主になってしまうんでしょうか!?
それとも、あいうえお作文の為に残るのかな?

メグミと竜二君、チューしちゃいましたね。(笑)
冒頭、ドラゴンソーダに竜二を訪ね、おこめ券などを差し入れる
メグミ。
「プライドを傷つけないように」という心配りにいいトコあるな~と
見直しました。
二人のキスを知った虎児が、ちょっと寂しそうに見えたのが気になりますが
竜二は今までメグミに一途だったから、二人が上手くいくのは嬉しいです。

今回は、小百合ちゃんではなく、孫のサヨちゃんが泣きました。
それでも鶴子の怒りはおさまりませんでしたが。(笑)
サヨちゃん、本気で泣いていましたね。

そして封筒は用意されていたけれど、それでも又怒られて
しまいました。(笑)

※まだ全部見直せていません。