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結婚できない男 最終話

塚本高史 2007. 11. 21. 00:37

結婚できない男 最終話

『幸せになって悪いか!?』

一人手巻き寿司を堪能する信介。
酢飯を海苔の上に乗せ、広げ、
まずは、マグロ。
手際よく巻きつけ、醤油を少しつけていただく。
ウニ。
イクラ。
そして、白ワイン。

至福の時間を、インターホンが邪魔をする。
昨晩も来た新聞勧誘員だ。
インターホン越しにみちるが通るのを見て、
「後ろの人、新聞取ってませんよ。」と教える信介。
そして再び寿司を堪能する。

数分後、再びインターホンが鳴る。
また勧誘員かと思い、出てみれば、やってきたのはみちる。
「契約させられちゃったじゃないですか。」
「自己責任だ。
 そんなこと言いに来たのか?」
「昨日は、ありがとうございました。」
「ああ。いいえ。
 ・・・で?」
「あの・・・
 私・・・」
言葉に詰まるみちる。
一緒にいたKENが、信介の持つカッパ巻きを見つめている。
「そんなに好きか?」
「え?どうしてそんな・・・。」
信介がKENに言うのを、みちるは自分に言われたと誤解する。
「そうか。」
「正直に言います。
 最初はあんまり、好きじゃないっていうか。
 どっちかって言うとキライでした。」
「俺もそうだな。」そう言いカッパ巻きを頬張る信介。
「でも、今はあの・・・逆っていうか・・・
 どうしてかよくわかんないんですけど。
 好き・・・かもしれません。
 ・・・それじゃあ。」
みちるの告白を、KENのことと誤解する信介だった。

手作りのロールキャベツを堪能する夏美。
そこへ、みちるから電話がかかってくる。
「言っちゃいました。
 桑野さんに、好きだって。」
「・・・そう。で、桑野さんは?」
「リアクション見る余裕なかった・・・。」
「ああ、そう・・・。」
「何か言って下さい!」
「・・頑張って。」
「はい、じゃあ、失礼します・・・。」
「それじゃあ。」

電話を切ったみちるは、隣の部屋から聞こえてくるクラッシックに
耳を傾ける。
みちるの気持ちに気づきもしない信介は、いつものように
指揮をしながらクラッシックを楽しむのだった。

信介が、欠陥住宅を取り上げるニュース番組に、
ちゃんとした家を作る建築家としてテレビ出演することが決まった。

15%の視聴率を持つその番組。
こっそり計算していみると、約11025000人の人が見ることになる。

夏美は失恋して泣いている看護師に、
「勇気出して告白したんだから、いいじゃない!
 どうせダメモトだし。」
勇気付けようとしてかけた言葉だが、看護師たちから冷たい目で
見られてしまう。

「ほら、泣かした!」そこへ信介がやってきた。

テレビ番組出演のプレッシャーに、胃痛を起こしたのだ。
「また、心配ごとですか?」夏美が聞く。
「普段あまりない体験っていうのは、
 結構、ストレスになるものですね。」
「それって、みちるちゃんのことですか?」
「え?」
「来たでしょう?この間。」
「なんか、礼とかいって。」
「それだけじゃないでしょう?」
「え?ああ。
 あんなこと、今更わかりきってるのに。」
「え?」
「犬の顔色を見ればわかる。」
「えーーっと・・・みちるちゃん、何て言ったんですか?」
「犬が、キューリを好きだって。
 それが何か?」
「いえ。」
「そんなことより、この胃の痛みなんとかしてくださいよ。
 これから、テレビに出るんです。」
「テレビに出るんですか!」
「ニュースビッグ9。
 これから収録なんですよ。」
「そうなんですか!すごいですね。」
「別に。」
「でも・・そのシャツで出るんですか。」
「何か問題あるんですか?」
「いえ。私がどうこう言う問題じゃないし。」
「ダメなんですか、これ。」
「・・・」

プレッシャーで胃痛を起こす信介ですが、
テレビ出演、嬉しそうですね!
夏美は、みちるの告白を勘違いしていると知って
ほっとしたようです。


家に着替えに戻った信介から、夏美に電話が入る。
信介に言われてメールを開く夏美。
「どうですか、この写真。」
「ああ・・・もっと、明るい方がいいんじゃないですか?」
「そうですか。じゃあまた。」

着替えては写真を撮り夏美に送り・・・
何度か繰り返す信介に呆れがえりながらも、
信介のシャツ選びを見立てる夏美。
何度目かの着替えで、やっと夏美から良い反応をもらえると、
「なるほどね。
 しかし何であなたに指図されなきゃいけないんだよ。」
「いつ私の指図聞けって言いました!?」
「これがもし、全国の人に不評だったら、
 あなたの責任ですからね。」
「知りません!」
また、けんか腰になってしまう二人だった。

綺麗に並べられたシャツの上に寝っ転がり、
「うん。悪くない。」
そう呟く信介。

収録現場。
「家を建てる場合、注文主の方と打ち合わせを重ねながら
 作っていくものなんですか?」
レポーターが質問する。
「お金を出すのは注文主の方ですからね。
 もちろん、意見は最大限に重視します。
 しかし、建築家の個性が発揮されて、
 初めて、いい家が出来るんです。
 私の場合、キッチンを重視した設計をしておりまして、
 そのポリシーを強めることは、住む人の幸せにつながると
 信じていますから。」

夏美はみちるに、信介が誤解していることを知らせる。
呆然となるみちるは、夏美にメッセンジャーになってほしいと
頼みだす。
断りきれずに引き受ける夏美は、電話を切ったあと大きなため息。

そんなみちるに、部屋を貸してもらっていた叔父から電話。
日本に帰ってくることになったらしい。

中川家に集まる信介、そして母・育代。
オンエアを見つめるが、信介のシーンは一瞬で終り。
コメントの半分がカットされていた。
「このあと大事な話しているんだから!」憤慨する信介。

その時、突然、育代が倒れた。
育代は救急車で中川病院に運ばれる。

幸い、大事には至らなかった。
興奮したことが不整脈を起こしたようだ。
安静にしていれば大丈夫、と夏美が言う。

病室に二人きりになると、育代が信介に言う。
「これで死ぬのかなーって思ったら、
 やっぱりあなたの結婚のこと、考えちゃった。」
「そんなに孫の顔が見たいか?」
「バカね。孫は口実。
 あなたが心配なの。」
「なにが。
 俺の心配なんてしなくていいでしょう。」
「あなた、本当の一人ぼっちを知らないのよ。」
「俺は、いつも一人だよ。」
「何だかんだ言ったって、近くに誰かいるでしょう、いっつも。
 でもね、私が死んだら、あなたのことを本気で考えてくれる人は、
 誰もいなくなるのよ。
 それを思うと、やっぱりね・・・。」
信介は育代のいつもの口癖に隠された親心を知り、
心揺さぶられることに。

夏美の診察室を訪ねていく信介。
「お袋本当に大丈夫なんでしょうか。」
「ええ。軽い不整脈なんで、すぐ退院できます。」
「本当ですね?」
「嘘ついてどうするんですか。」
ほっと安心する信介。
「やっぱりお母さんのこと、大切なんですね。」
「いえ。俺の結婚のことを心残りみたいに言うもんですから。
 ま、死なないなら。」
「死ななくてもすればいいじゃないですか、結婚。」
「誰と?」
「・・知りません。」
「余計なお世話ですよ。
 それじゃあ。」
「・・あの。
 ・・みちるちゃんが・・・」
「え?」
「あ・・テレビ見ました。」
「見たんだ!」
「さっき控え室で。
 シャツ似合ってたじゃないですか!」
「でしょ!
 それじゃあ。」
「お疲れ様でした。」
信介は指をパチンと鳴らし、診察室を出ていった。

みちるは、叔父がアメリカから帰ってくることになり、
引越しをすることになる。
一緒に食事をする英治、沙織、千鶴にそのことを話していると、
夏美から電話が入る。席を外して話すみちる。
「ごめん。言えなかった。
 っていうか、やっぱり自分で言うべきだと思う。
 本当の気持ちなら。」
「・・・そうですね。すみませんでした。
 何で桑野さんなんか好きになっちゃったんだろう。」
みちるの話を聞いてしまった千鶴は、英治と沙織にそのことを話す。

いつもの店で食事をしたあと、いつものコンビニで青汁を6本鷲づかみ。
いつもの店員さんの左手の薬指には、結婚指輪。
そのあと、ビデオショップに行くと、そこの店長の左手薬指にも
同じものが!

オンエアを見た摩耶は、信介のコメントがカットされていることに
気づいていた。
「あれじゃ、客の言いなりに家を作ってるみたいだろ。」と信介。
「キッチンを中心に発想するっていうポリシーを大切にしている。
 あのあと、そういう話したんじゃないの?」
「まあ、そういうとこだ。」
「でもあなたを知っている人はちゃんとわかっている。
 それでいいじゃない。」
「あいつはわかってないけどね。」
「すいません。まだまだ修行が足りません。
 ・・・それより、みちるさんが引っ越しするの、知っています?
 近いうち、最後にみんなであの部屋で集まろうって。」
「・・・ほんっと、群れるのが好きなヤツラだね。」
「桑野さんも来るんですよ!」
「遠慮しておくよ。」

みちるの家でのパーティーの日。
英治たちが遅れていて、信介と家に二人きり、緊張気味なみちる。
「な、こういう時、頭の中で、般若心経が流れたりしないか?」
「・・・しません。っていうか知らないし。」
「そ。
 ・・・ここで待っててもしょうがないか。
 みんなが来るまで、家に戻ってる。」
「そうします?」

信介が出ていこうとすると、KENが引き止める。
「あ、そうか。」
信介は持ってきていたキューリをKENにあげる。

その時、英治からみちるへ電話が入る。
「みんな都合悪くなっちゃったから。
 桑野さんと二人で楽しい時間を過ごして下さい。
 とにかく二人で向き合ってみれば?」
実は、みちるの思いを知った英治達が、信介と二人きりにさせようと
仕組んだことだった。

ところがみちるは夏美も呼んでいた。
結局、みちる、信介、夏美でビールを飲むことになり・・・。

信介のテレビ出演を知らなかったみちるに、夏美はビデオに撮ったので
貸してあげようかと言う。
「見なくていい。
 発言、勝手にカットされたんでね。」
「あれカットされてたんですか?」
「わからないかな、それくらい。」
「わかりませんよー。
 ま、いいじゃないですか。カットされたぐらい。」
「あのあとにね、どんなに重要な発言があったか、 
 あなた、知らないでしょう?」
「知りませんよー。
 終わったことウジウジ言わなくてもいいでしょう。」
「ウジウジ言っているのはそっちでしょう。
 人のシャツ、勝手にダメだしするし。」
「あなたがテレビに出るのに、どのシャツがいいかって聞くから
 見立ててあげたんでしょう?」
「・・そうなんですか?」とみちる。
「いや事実と違う!
 あなたが文句をつけるから、変えざるを得なかったんですよ。」
「でもあれ、似合ってたじゃないですか。ねえ!」
「だから見てないって・・・。」会話に入れず寂しそうなみちる。
「あ、ごめん。今度見せるね。」
「あ、わかった。
 あのシャツのせいだ。
 あのシャツがディレクターの好みに合わなかったから、
 思いっきりカットされたんだ!」
「あなただって、人の言うことにいちいち憎まれ口
 叩くじゃないですか。」
「別に憎まれ口なんか叩いてませんよ。」
「あ、また!
 自分は純粋に批評しているけど、
 お前は寂しさのあまり、人に無駄口叩くんだって
 言いたいんでしょう!?」
「誰もそんなこと言ってません。」
「大体あなたが言いそうなことは予想が付くようになってきました!
 ・・・ほーら又何か考えてる!」
「ハッハッハ。
 それで、勝ったつもりですか?」
「別に勝負なんかしてませ~ん!」

黙って二人のやり取りを聞いていたみちるは、耐えかねて机をバンと叩く。
「あの!
 人の家で痴話げんかしないでもらえます?」
「痴話げんかって・・」「別にそんな・・」
「どう見たって、恋人か夫婦の痴話げんかです!
 犬も食わないってやつです!
 私の家で、私がいないみたいに、
 そんなケンカしないで・・・。
 もう帰ってください!!帰って!!」
涙ぐみながらそう言うみちる。

二人が帰ったあと、一人涙をこぼすみちる。
「バカみたい、私・・・。」
KENが心配そうにみちるを見つめていた。

夏美は暫く信介を見つめたあと、黙ったままマンションを出ていった。

信介が一人、バーで飲んでいると、金田がやってきた。
「あ!いたいた!
 テレビ見ましたよ。
 まさか同業者とは!」
そう言い、人懐っこい笑顔を見せ、握手してくる。
「ネットで見たんですけどね、いい家作りますねー。
 俺もいつかあんな仕事してみたいなー。」
金田はそう言い、自分の名刺を信介に渡す。
「これも何かの縁ですから、お互いこれからいい情報交換しませんか?
 あなただったら、素晴らしい奥様がいるんだろうな。
 僕も結婚したいんですけどね、なかなか。」
そう言い、連れの女性の元へ戻っていった。

「なんだ・・・。
 いいヤツじゃないか・・・。」
嬉しそうに微笑む信介。

夏美は仕事中のみちるを訪ねていく。
「私・・・」
「いいんです、もう。
 夏美さんも・・・好きなんでしょう?桑野さんのこと。」
みちるが笑顔でそう聞く。
「そんな・・・」
「今から思えば、何だかんだ言いながらいつも桑野さんの話してたし。
 文句言うわりには、桑野さんと会ってるし。
 桑野さんと沢崎さんがお似合いじゃないかって言った時とか、
 私が桑野さんのことを好きだって言った時とか、 
 そういえば動揺していましたよね。
 好きなんでしょ?
 この間、桑野さん見ていて思いました。
 あんな女心のわかってない人、やっぱ私、ダメだなーって。
 ま、新しい生活始めれば、新しい出会いもあると思うし、
 ちょっとは大人になれた気もするし。
 あー、良かったー。引越しすることになってー。
 このまま桑野さんと隣同士じゃ、気まずいもん。
 ・・・上手く行くといいですね。
 ポジティブシンキング!」
みちるが笑顔でエールを送った。

病院に戻ると、育代が退院していくところだった。
信介と一緒に、育代を乗せたタクシーを見送る夏美。
「それじゃあ。」
帰ろうとする信介を夏美が引き止める。
「あの!
 ひとつ、聞いていいですか?」
「はい?」
「この間テレビでカットされたところって、
 どんなこと言っていたんですか?」
「ああ。
 まあ家は、建築家の個性が発揮されて、
 はじめていい家になる。
 僕は、キッチンを重視した家作りをしていて、
 それが、住む人の幸せにつながると信じてる、
 とかまあ、こんなことですよ。」
「そうですか。」
「それが何か?」
「そういうとこカットされたら、腹が立ちますよね。
 あんなこと言って、すみません。」
「え・・・いや・・・。」
「私も、家作ってもらおっかな、桑野さんに。」
「どんな家ですか?」
「うーん。
 明るくて、開放的で、人がいつも集まるような、
 そんな感じかな。」
「寂しいのが長いと、そういうの夢見るんですよ。」
「やっぱり・・・そういうこと言わないと、いられません?」
「え・・・いや、そういうことは。」
「じゃあ何か、他のことを言って下さい。」
「まあ・・・予算に合った家を作りますよ。」
「そうじゃなくて。
 考えてみたら、私たちの会話って、キャッチボールじゃなくて、
 ドッヂボールばっかりだった気がします。」
「はい?」
「相手に当てて終り。」
「ハハ。上手いこと言いますね。」
「感心している場合じゃなくて。
 私は、キャッチボールがしてみたいです。
 あなたと。」
「・・・」
「ボールは投げました。
 ・・・それじゃあ。」
夏美は笑顔を見せ、病院に戻っていった。

事務所に飾った野球のボールを見つめて考え込む信介。
ゆっくりとボールに手を伸ばし、それを掴む。

「お、金田更新してる。」
英治がホームページをチェック。
『ちょっと、いい友達が出来ました』
「あ!!
 ちょっとって・・・
 桑野さん、これ!!
 ・・えぇ!?」
パソコンに表示されたのは、金田と信介の2ショット写真!
信介は英治の言葉が耳に届かないのか、野球のボールに触れ・・・。

中川家では、圭子と育代が、信介と夏美はお似合いの二人だと
噂している。
「とにかく信介がその気になるかどうかなのよね。」
育代が呟くように言う。
育代は老人ホームのパンフレットを捨てていた。
興味がなくなったらしい。
圭子たちに聞かれ、
「なるようになりますよ。」
と答える育代だった。

みちるの部屋から家具が運び出されていく。
部屋を覗き込むと、みちるが出てきた。
「今日か。」
「はい。」
KENと見詰め合う信介。
「そっかぁ。KENと桑野さん、引き離しちゃうんですね。
 すみません。」
「別に。」
「まあ、都内だし、いつでも会えますから。」
黙って自分の部屋に向う信介。
「最後まで愛想のない人・・・。」みちるが呟く。

部屋に戻った信介は、なにやら思いつき・・・。

引越しのトラックを見送るみちるとKEN。
タクシーに乗り込もうとすると、信介がやって来た。
「これ、こいつに餞別だ。」
それは、KEN専用のえさ入れと、キューリのオブジェ。
「え?今作ったんですか?」
「ああ。」
「ありがとうございます。
 良かったね、KENちゃん。」
「・・・それから・・・これ。」
信介は袋からもう一つ何かを取り出す。
手作りの、犬の置物だ。
「え?私に?」
「ああ。いろいろ、世話になったしな。」
微笑んで受け取るみちる。
「じゃあ、頑張れ!」
「はい!
 それじゃ。」
タクシーに乗り込むみちるとKENを見送る信介。
「桑野さんも頑張れー!」
みちるがタクシーの窓を開けて叫ぶ。
「・・・何を?」

焼き肉屋で一人焼肉を楽しむ信介。
ふと、窓の外を見ると、金田の車が止まっている。
気にしながらも、焼き肉に気持ちを戻す信介。
店の奥から聞こえてくる、肉を焼く音に振り返ると、
そこには、一人焼き肉をする金田がいた!
一人、幸せそうに焼き肉を頬張る金田の姿に、
信介は何度も頷くのだった。

橋の欄干をポンポン叩きながら歩く信介。
足を止め、水面に映る自分の姿を見つめ・・・
やがて又歩き出す。

ベランダから夜景をぼーっと見つめる信介。
ふと、隣の部屋との柵を見てみるが、
そこにKENの姿はもういない。

部屋に戻り、クラッシックを聞く信介。
だがいつものように指揮することもなく、
ついには音楽を止めてしまう。

金魚鉢には、一匹の金魚。
「ボールは投げました。」夏美の言葉。

信介は作業用の机に移り、スケッチブックを広げる。
そして徹夜で、デザインに取り掛かる。
何度も何度も作り直し・・・。
なかなか、思うようなものが作れないようだ。

中川総合病院を訪ねていく信介。
「どうも。」
「どうぞ。
 あれ、顔色が悪いですね。」
「ええ。病気じゃありませんよ。
 ま、ちょっと徹夜したもんで。」
「じゃあ何で来るんですか。
 うちで休んでいた方が。」
「キャッチボールしに来たんです。」
「え・・・」
「夕べ、ずっとあなたの住みたいっていう家を、
 設計しようとしてたんですよ。
 でも、出来なかった。」
「何でですか?」
「自分でも、はが、はがゆかったですけどね。
 やっと、出来ない理由が、わかったんです。
 僕はこれまで、他人の住む家ばかりを設計してきました。
 でも自分や、自分の・・大事に思っている人の住む家を
 設計するのは、どうしても出来なかった。
 明るくて、開放的で、みんなが遊びに来るような、
 そんな家で、自分が暮らしているのが、
 なかなか想像出来なくて。」
「・・ちょっと待ってください。
 今、自分が暮らすって言いました?」
「ええ言いました。
 僕はずっと、結婚なんかしないって思ってきましたからね。
 めんどくさそうだし、メリットなんかないじゃないですか。
 一人の方が、いいって。
 でも、あなたと出会って、話し相手が、いつもそばにいるのも、
 いいのかなって。」
「・・・」
「要するに・・・僕は・・・
 あなたが・・・好きなんじゃないかな・・・。」
「・・・」
「ダメですか・・・僕じゃ・・・。」
夏美の瞳から涙がこぼれる。
「いい・・かもしれません。」
「え・・いい?
 いいでしょう!?
 いや、ああ!嬉しいな。」
コットンを丸めながら信介が続ける。
「結果的には・・結婚、出来ないんですけどね。」
「えぇ!?」
「え?」
「え?今なんて言いました?」自分の耳を疑いながら夏美が聞く。
「いや、嬉しいって。」
「その次です。」
「結婚出来ないと。」
「・・・」
「何か?」
「ちょっと話が見えなくなってきましたけど。
 結果的に、結婚出来ないっていうのは、どういう意味ですか?」
「アハハ。
 自分が、自分の大事な人と暮らす家のイメージがわかない。
 作れそうにない。
 さっきそう説明したでしょう。」
「・・家なんてどうでもいい。」
「はい?」
「家なんかいらない!」
「何言ってんの?」
「そんなの賃貸でも何でもいいじゃないですか!」
「そうはいきませんよ。
 僕はね、理想の形にこだわる性質なんです。
 理想の家のイメージが湧かない限り、結婚は出来ない。
 そう言ったんです。」
「まっったく、この人は!!
 結局あなたは自分のことばかりじゃないですか!!」
「いや、いや、自分のことばかりって・・・」
「もう知りません!!!」
そう言い診察室の裏に行ってしまう夏美。
「え・・・。」
信介のこだわりは、夏美を激怒させてしまった。

「ワケわかんない!」
呟きながら病院を出ていく信介。

診察台に横になる夏美。
「私もうダメ・・・。」

「ややっこしい女だ。」

「あんな人、絶対結婚出来ない・・・。」

そして・・・。
街を歩く沙織と英治。
沙織はショーウィンドウに飾られたウェディングドレスに足を止める。
「何見てんの?」と英治。
「いいでしょ。別に見たって。」
「いやいいけど・・・。」

引越ししたみちる。
KENは信介が作った器でエサを食べている。
「もう1週間か。みんな元気かなー。
 そっかそっか。
 そんなにそれが気に入った?」
「ワン!!」

客に、信介を推薦する摩耶。
「性格はちょっとやっかいなんですが、
 作る家は素晴らしいです!」

スーパーの袋を手に夜道を歩く信介。
別の方向からは、同じように買物帰りの夏美が。
そんな二人が角を曲がったところで出会う。
「こんばんは。」と夏美。
「どうも。
 買物ですか?」
「ええ。
 またお肉ばっかり食べているんでしょう!」
「別に。
 そちらのメニューは何ですか?」
「ロールキャベツでも作ろうかなと思って。」
「ふん。またか。」
「いいでしょ、好きなんだからー。
 じゃあ、私、こっちなんで。」
「あ。・・それじゃあ。」
夏美が歩き出すのを見つめる信介。
「あのー。」
「はい。」夏美が振り返る。
「圧力鍋、あります?」
「ああ、今ないんですー。古いの捨てちゃって。」
「僕んちありますよ。
 ロールキャベツなら、10分で出来る。」
「そうですか。」
「・・・」
「もしかして・・・
 うちに来いって、言ってますか?」
「いやまぁ・・
 でも、あなたがどうしてもとおっしゃるのなら。」
「どうしてもなんて言いません。」
「ふーん・・・」
「・・・」
「・・・」
「でも・・あなたがどうしてもって言うなら・・
 行ってもいいですよ。」
「・・・
 じゃあ・・・
 来てください。
 どうしても。」
「はい!」
笑顔で見詰め合う二人・・・。

買物袋を二つ提げて歩く信介。
「あの、あんまり塩辛くしないように。」
橋の欄干をポンポン叩きながら夏美は答える。
「わかってます!」
「前に食べた限りじゃ、
 どうも・・・あれじゃ・・結婚出来ないな。」
「あなたに言われたくありません。」笑いながら夏美が答える。
二人は楽しそうに語り合いながら、信介の部屋へと向った。

信介の部屋。
テーブルの上には、明るくて、開放的で、みんなが遊びに来るような、
夏美の理想の家(信介の家)の模型が完成していた。

※一部公式HPあらすじを引用しました。

冒頭の手巻き寿司。パリっとした海苔の音!
手巻き寿司が食べたくなりました。(笑)

一人手巻き寿司、一人焼肉、一人お好み焼き、一人ディナー。

信介のテレビ出演を録画までしていた夏美さん。

失恋をしてしまったみちるは可愛そうだったけれど、
もともと、ずーっと好きだった、というわけでもないしね。
最後に笑顔で夏美を応援する姿は、潔くて、好感を持ちました。

ドッヂボールとキャッチボール。
夏美さん、上手いこと言いますね。
その言葉を受け止めた信介は、しばらく一人で考え込みます。
みちるとKENが引っ越してしまい、友達を失う寂しさも、
彼に影響を与えたのでしょう。

そんな彼が出した答え。
診察室での会話、なんて素敵なプロポーズなんだろうって
思っていたんですよ、途中までは。(笑)
夏美の家=自分の家、ってことが言いたいんだろうなって。
そしたら・・・
「結婚出来ないんですけどね。」って。(爆)
信介らしいって言ったら信介らしいのだけど、
あんな告白、あれじゃさすがの夏美さんも激怒しますよね。

そのあと、買物帰りに再会するまで、
信介は一生懸命考えながら、あの模型を完成させたのかなー。

エンドロールの最後には、金魚鉢に金魚が2匹。
夏美が、もう一匹増やしてあげたらって言っていたんですよね。
あの金魚が、仲良く寄り添う信介と夏美の象徴のようで
微笑ましかったです。

不器用な大人たちの恋。
その世界に、引き込まれました。
いいなぁ、こういうドラマ!!
SPで、二人の結婚生活を見てみたい!!

金田と信介。
一見、性格の違うような二人でしたが、
実はこの二人も似たようなところがあり。
いい友達になれそうですね。

そうそう。
コンビニの店員さんと、ビデオショップの店員さん、
左手薬指の指輪が嬉しかったです。


余談ですが、このドラマのあと、『アンフェアSP』のCMが!
あのBGMに、雪平の姿に、ドキドキ、ワクワク!
SP、ほんっとうに期待しています♪


これで、7月期ドラマレビューが全て終わりました。
遊びに来てくださったみなさん、ありがとうございます。
今クールは思ったように更新が出来ず、自分でもはがゆかった。
次クールも本数は控え目になりますが、更新続けていきますので
どうぞよろしくお願いいたします!

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